『邪悪の家』 アガサ・クリスティー 田村隆一 訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 今週前半の帰省で持ち帰った『邪悪の家』を読了。

 とっくに再読し、このブログに書いていたと思っていたのに・・・。
 勘違いの原因は、カバーのあらすじに既視感があったからです。
 そのわりに内容を忘れているわけですが、いつものことなので・・・。

ニックが狙われたのは四度目だった。 最初は寝台上の額が落ち、次は車のブレーキが壊れ、続いて崖の上から岩が転がり落ちてきた。 そして今度はポアロの目前で何者かに狙撃されたのだ。 古い屋敷の若い女主人で財産もないニックがなぜ襲われるのか? そのうち、パーティの最中にニックの従妹が射殺されてしまった。 執拗に女主人をつけ狙う謎の人物の動機、大団円に待つ驚くべき逆転とは? 初期の作品を代表する本格傑作!

 ニックの従妹が射殺されたのが「四度目」で、その後、ニックは身の安全を確保するため、療養所に隔離されます。
 ところが、送られてきたチョコレートにコカインが入っていて、ニックはそれを食べてしまいます。これに対してポアロは、いつになく熱くなります。

「(略)このエルキュール・ポアロの命令にそむくとはなにごとか! これで四度も死にそこなったのですぞ! それでもまだこりないというのか! こんなことははじめてだ!」(P247)

 略された部分にも!が5つあり、!は計9つ。いかに熱くなっているかが分かりますが、死にそこなったのは「五度目」のはず・・・。
 1)訳の誤りなのか? 2)原文の誤りなのか? 3)ポアロが熱くなったことを数え間違いで表現しようとしたのか?
 3)だとすると、深すぎて、伝わらない恐れがあるのでは・・・。

 その後の場面、ヘイスティングズに対するポアロの発言――。
 コカイン入りチェコレートの件は正しく「五回目」となっています。
 !は一つもなく、冷静さを取り戻したようで・・・。

「(略)四回犯人は遂行して、失敗したのです。そしてとうとう五回目に犯人は成功したのです。いいですね、こう言いふらして、どういう反応が起るかしっくり見守っていようではありませんか……これは面白いことになりますよ」(P261)

 小ネタとしては、登場する医師の名前がグレアムなのが、直前に読んだ『ブラック・コーヒー』と同じでした。
 でも、早くも細かいところを忘れているわけで・・・。
 ヘイスティングズがニックに説明したポアロの癖の中に登場する事件が、『ブラック・コーヒー』のものだったか、確証を持てません。
 実家に置いてきたので、次の帰省時に時間があれば確かめようと思います。

 そして、いっとうおしまいに、マントルピースの上の飾り物をまっすぐになおす妙な癖のおかげで、ポアロが有名な事件を解決したことがあるというエピソードで話をむすんだ。(P198-199)

 最後はいつものように、目次を――。

 「A~Jまで」「J」「K」からはトランプを連想してしまいますが・・・。
 A~Jはポアロが作成した容疑者リストで、このうちA~Iはすでに登場し、Jは未知の人物。さらにKということは――。
 考えてみれば、これだけで真犯人が特定出来そうですね。。
 それにしても、この作品も張り巡らされた伏線が見事でした。

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1 マジェスティック・ホテル 2 エンド・ハウス 3 はたして事故か?
4 くさいぞ! 5 クロフト夫妻 6 ヴァイス氏の訪問 7 悲劇
8 運命のショール 9 A~Jまで 10 ニックの秘密 11 動機 12 エレン
13 手紙 14 なくなった遺言書の謎 15 フレデリカの奇妙な態度
16 ホイットフィールド氏との会見 17 チョコレートの箱
18 窓に出た顔 19 ポアロの演出 20 J 21 K 22 終幕
   訳者あとがき
     (1984年6月15日発行 1991年2月28日15刷)

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