『鳥取雛送り殺人事件』 内田康夫 (中公文庫)

 きのうの『平城山を越えた女』に続き、『鳥取雛送り殺人事件』――。
 再読のきっかけは、『平城山を越えた女』の17ページの記述。

 浅見は少しもったいをつけた言い方をしたが、「大忙し」は嘘でも大袈裟でもない。そのころの浅見は、雛人形がからんだ奇妙な事件に巻き込まれて、文字どおり東奔西走の毎日だった。

 「雛人形にからんだ奇妙な事件」といえば、これしかありません。
 ただし、きのう書いたように「ちょっとしたミステリー」が・・・。

 この作品における最後の被害者が発見されたのは、春分の日(266ページの記述より)。
 事件が解決したのは翌日で、浅見はこれに立ち会っています。
 春分の日は3月21日か20日のいずれかなので、その翌日は、3月22日か21日――。

 また、きのうの『平城山を越えた女』で触れた阿部美果の行動は以下の通り。
 同じ期間の多くの時間、浅見も同行しています。

   3月21日 P22~ 大覚寺で写経。宝ヶ池プリンスホテルへ。
   3月22日 P57~ 日吉館へ。(学生グループが加茂町で変死体発見)
   3月23日 P67~ 浅見と奈良巡り。
   3月24日 P118~ 夕日地蔵前でのハプニング。(浅見、警察の厄介に)
   3月25日 P192~ 奈良から東京へ。


 ということは、少なくとも3月21日、場合によっては21日と22日の両日、浅見は鳥取と奈良に同時に存在したことになるわけで・・・。
 もちろん、100以上の作品に登場する浅見光彦は『遺譜 浅見光彦最後の事件』をのぞき33歳なので、一年365日で足りないのは分かります。
 ただ、「雛人形にからんだ奇妙な事件」と具体的に触れるのであれば、整合性を取ればよいのに・・・。
 そんなふうに思ってしまいました。

 他の作品との不整合だけでなく、この作品の中だけでの不整合も・・・。

 「失礼ですが、あなたは昨日、雛送りの祭事を司った方ですか?」
 浅見は訊いた。
 「ええ、そうですけど」
 由美子は京都訛りのある、透き通った声で答えた。 (P308)


 この会話があったのは、最後の被害者が発見された翌日――。
 雛祭りの祭事が描かれているのは、200ページ過ぎの十数ページ。
 その後、264ページと304ページに、日付が変わったことを示す記述があります。
 なので、浅見の質問は「昨日」のことではなく、「一昨日」のことになるはずですが・・・。

 もちろん、こんなあら探しばかりしているわけではありません。。
 雛流しの風習や門跡尼寺の歴史など、興味深いことが多かったです。
 鳥取は遠いので、まずは岩槻の人形を見にいきましょうか・・・。

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 第一章 花園神社     第二章 雛祭りの伝説    第三章 門跡尼寺
 第四章 雛人形の里   第五章 失踪          第六章 用瀬雛流し
 第七章 若桜へ      第八章 平家落人の伝説   第九章 門跡の末裔
 第十章 十二単の女   第十一章 鬼ヶ城に消えた  第十二章 意外な客
 第十三章 殺意の儀式  第十四章 流れて消えて
    自作解説
                (1994年6月25日印刷 1994年7月10日発行)

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