『愛の旋律』 アガサ・クリスティー 中村妙子 訳 (クリスティー文庫)

 5月15日、仙台のブックオフで買った2冊のうちの1冊。
 死人の鏡は3日後に読み終えましたが、こちらはなかなか・・・。

 何しろ、この厚さ! 本編だけで630ページ以上!
 おそらく、クリスティーの長編の中で、もっとも長いと思います。

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 長いだけならまだしも、そもそもミステリーではありません・・・。
 クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で発表した初の長編。
 『愛の旋律』なんて、クリスティーでなければ、絶対読まないタイトルです。

奔放なオペラ歌手ジェーンの歌声に魅せられたヴァーノンは、婚約者のために一度はあきらめた音楽家への道を再び呼び醒まされた。それはまたジェーンへの愛の兆しでもあった。平凡な幸せを望む心とは裏腹に、二人の女性を愛し、音楽家としての野心に取り憑かれた天才芸術家の愛と苦悩を流麗な筆致で描く大河小説。

 天才芸術家の愛と苦悩を流麗な筆致で描く大河小説
 苦手なジャンルであることは、間違いありません。。

 先月読み始めたものの、半月以上中断。
 ヴァ―ノンの子供時代を描いた第一部は、やたら時間がかかりました。
 それでも、第二部以降はスピードが上がり、連休の2日間で400ページ超!
 買ってから2か月近くで、ようやく読了です。

 しかし、終盤の急展開とこの結末は予想外。
 ミステリーでなくても、クリスティーらしい・・・となるのでしょうか。
 解釈が難しいです。

 そんなわけで、『アガサ・クリスティー完全攻略[決定版]』にヘルプ!
 以下は、霜月蒼が記すあらすじ――。

 謎めいた作曲家ボリス・グローエンの作品《巨人》が初演された。既存の音楽理論を脱した異様な「音」は、観客に激しい賛否の論争を巻き起こす。公演後、この天才は何者なのかと問う批評家に、プロデューサーのレヴィンは答えない――
 時は一九世紀末にさかのぼる。富裕な家に生まれたヴァ―ノン・デイアは音楽を恐れる子どもだった。ボーイッシュな従妹ジョー、近所に越してきた富豪の息子セバスチャン、美少女ネルとともに成長してゆくヴァ―ノンは、青年となって音楽に開眼、オペラ歌手ジェーンに魅了されるが、勃発した第一次世界大戦が人生を一変させる

 この前半部分はプロローグで、時系列的には一番後の「現在」の出来事。
 先に引用した、本書のカバーのあらすじとはだいぶ違った印象で、プロローグの有無で、『愛の旋律』の主題も変わってきます。

 本書の原題はGiant's Breadという。「巨人の糧」。「巨人を育むもの」。つまり本作は冒頭で初演される楽曲《巨人》を成立させた養分が何であったかを描く小説だということだ。

 なるほど! まったくそういうふうに読んでいなかったです。
 ・・・というか、原題がGiant's Breadであることに気づいたのは、読み終えてからだったわけで・・・。

ネルであったクリスティーは、ヴァ―ノンとなってジェーンを目指す。

 なるほど! 端的なまとめ。
 クリスティー自身がどう考えていたかは別として、分かりやすいです。

 背景は読めましたが、何しろ630ページ超!
 本書をもう一度――はかなりの覚悟が必要。いずれまた・・・。

 訳者あとがきでは、マン島の黄金について触れられていました。
 当然、覚えていません。。

 世に知られずに長らく埋もれていた雑誌掲載の短編などを集めて死後出版された『マン島の黄金』を、私はクリスティーの落穂拾いの気持ちで読んだ。そのうちの「光が消えぬ限り」は、本書第五部のヴァ―ノンとネルの再会とその痛ましい結果のエコーのようで一読を勧めたい。
 もう一つ。同じ『マン島の黄金』の「壁の中」には、ヴァ―ノン、ジェーン、ネルが、アランとその妻イザベル、それにジェーンとして登場している。

 先月読んだ黄色いアイリスの中でも、最後に『マン島の黄金』について書きましたが、手がついていません。
 今度こそ・・・。

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 プロローグ
第一部 アボッツ・ピュイサン
第二部 ネル
第三部 ジェーン
第四部 戦争
第五部 ジョージ・グリーン
   訳者あとがき
   解説/服部まゆみ
    (2004年2月10日印刷 2004年2月15日発行)
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