『黄色いアイリス』 アガサ・クリスティー 中村妙子 訳 (クリスティー文庫)

 先月末にあげた『ペスト大流行 ―ヨーロッパ中世の崩壊―』で、次こそ、カミュの『ペスト』を買おうと思います。と書きましたが、千葉に戻ってからようやく購入。
 ですが、同時に『黄色いアイリス』を買ったので、こちらが先になりました。
 まあ、そうなりますよね。。

IMG_20200607_173309.jpg

 表題作の黄色いアイリスは、後に『忘られぬ死』として長編化されました。

四年前に死んだ妻の追憶のための晩餐会に出席してほしい――ある富豪から奇妙な依頼を受けたポアロが赴いた場所では、昔とまったく同じ状況が繰り返され、テーブルには依頼人の義妹の死体が……表題作を始め、ポアロもの五篇、パーカー・パインもの二篇、マープルもの一篇、幻想小説一篇を収録する珠玉の短篇集。

 カバーにはこんなふうにあらすじが書かれていますが、これは誤り。
 依頼人は死んだ妻の夫ではなく、妹ですから・・・。
 (探偵役に違いはありますが)『忘られぬ死』とごっちゃになっていますね。

 ほかに、バグダッドの大櫃の謎は、後にスペイン櫃の秘密として改変(『クリスマスプディングの冒険』収録)――というのは知っていましたが・・・。
 読み始めて気づいたのは、二度目のゴング。最近読んだことがあると思ったら、これが死人の鏡(『死人の鏡』収録)に改変されていたんですね。

 忘られぬ死クリスマスプディングの冒険死人の鏡は3冊とも、先月読んだので、ある程度は記憶に残っています。
 登場人物や犯人の設定などが変わっているのを楽しめました――と言いたいところですが、楽しむには記憶がおぼろげ過ぎました。。

 本書の成り立ちはなかなか複雑。底本の『The Regatta Mystery』自体がイギリスではなく、アメリカで刊行されたもので、『アガサ・クリスティー完全攻略[決定版]』によると、本書に収録された作品がイギリスで刊行されるのは一九六〇年代以降まで待たねばならなかったそうです。
 表題作も変わっていたんですね。確かに『黄色いアイリス』のほうが売れそうではあります。
 以下は、Wikipediaからの引用――。

本作は1939年に刊行された短編集『The Regatta Mystery』(レガッタ・デーの事件)を底本とする早川書房オリジナルの短編集である。本作は表題作が「レガッタ・デーの事件」から「黄色いアイリス」へと変更されている他に、収録作品についてもいくつか変更があり、「The Dream」(夢)が外され、代わりに短編集『The Witness for the Prosecution and Other Stories』(『「検察側の証人」ほか』、1948年刊行)から、「The Second Gong」(「二度目のゴング」)が収録されている。「夢」は、早川書房では短編集『クリスマス・プディングの冒険』に収録されている。


 複雑なのでいろいろ調べていたら、こちらのサイトにたどり着きました。
 意外な発見としては、バグダッドの大櫃の謎が本書だけでなく、『マン島の黄金』にも収録されていること。また、『マン島の黄金』収録のクリスマスの冒険が、クリスマス・プディングの冒険の元となった作品であることも・・・。
 『マン島の黄金』は前に読んでいるので、本来は「意外な発見」ではないはずですが、何しろ9年前。実家に持ち帰っていないので、本棚を探してみます。

 その前に、次こそ、カミュの『ペスト』を読みましょう。。

---------------------------------------------------------------
レガッタ・デーの事件
バグダッドの大櫃の謎
あなたの庭はどんな庭?
ポリェンサ海岸の事件
黄色いアイリス
ミス・マープルの思い出話
仄暗い鏡の中に
船上の怪事件
二度目のゴング
   解説/郷原宏
     (2004年6月15日発行 2017年5月25日5刷)
---------------------------------------------------------------

"『黄色いアイリス』 アガサ・クリスティー 中村妙子 訳 (クリスティー文庫)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント