『落日の王子 蘇我入鹿(下)』 黒岩重吾 (文春文庫)

 先ほど、落日の王子』の下巻を読了。
 カバーに書かれているあらすじが不自然なのは、上巻の続きだから――ですが、何も「一方、」から始めなくても・・・。

一方、蘇我氏の専横をにくむ中大兄皇子と中臣鎌足らの連合勢力は、皇位を窺う入鹿の野望を挫き、唐にならった中央集権国家を樹立しようと謀っていた。両者の激突は乙巳のクーデター=大化改新となる。新羅使の朝貢の儀式の最中、入鹿は討たれ、野望は脆くも潰え去った。古代史ロマンの第一人者が描く傑作小説。

 きのう書いたように、蘇我氏渡来人説(≒百済王の末裔)のほかにも、通説と異なる、黒岩重吾独自の解釈があちこちに見られます。
 一番大きいのは、何といっても入鹿と皇極天皇の関係で、漢皇子は二人の間の子――いうのは、かなり大胆な推理。漢皇子は皇極天皇が舒明天皇の后になる前、高向王との間に産んだ皇子とされていますが、この高向王が正体がよく分からない人物。日本書紀で、漢皇子が記されているのが「皇極即位前紀」ではなく、「斉明即位前記」なのも根拠の一つになっています。

 まあ、蘇我入鹿自体もある意味、謎の人物。滅ぼされたからかもしれないですが、子の名前が伝わっていないのもその一つ。
 Wikipediaにも妻子の名前はありません。代わりといっては何ですが・・・。

蝦夷が大臣であった皇極天皇元年(642年)、皇極天皇の即位に伴い、父に代わって国政を掌理する。同年7月23日には従者が白色の雀の雛を手に入れた。雀は祖父の蘇我馬子を表された事があるとされている。

 本書で入鹿の警護長して登場するのは、東漢直雀。作者創作の人物です。
 なぜ雀なのか? と思ったのですが、ひょっとすると、雀は祖父の蘇我馬子を表された事があるとされているというのが関連しているのかもしれません。

 内容とまったく関係ないですが――。
 本書に挟まってあった栞は、なぜか角川文庫のものでした。
 萬有製薬の目薬・新スマイルで、描かれているのは髪が真っ黒な関口宏。

IMG_20191130_164432.jpg

 昔の本のページを開くと、こんな思わぬ発見もあります。

 来月の帰省時は、同じ黒岩重吾の『紅蓮の女王』と東野圭吾の加賀恭一郎シリーズを持ち帰る予定。あとは、きのう亡くなった大勲位関連で、大下英治の『中曽根が笑った日 』でしょうか。

 その前に、蘇我氏関連の本を斜め読み。
 久しぶりに水谷千秋の『謎の豪族 蘇我氏』のページを開いています。

           (1985年4月25日第1刷)

"『落日の王子 蘇我入鹿(下)』 黒岩重吾 (文春文庫)" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント