『統合と分裂のヨーロッパ ―EC・国家・民族―』 梶田孝道 (岩波新書)

 10日前にアップした統合ヨーロッパの民族問題――。

   スコットランドの独立問題がニュースになった一週間でしたが、読んだきっかけはこれではありません。
   それなら、『統合と分裂のヨーロッパ』のほうが、もっと適当。
   英帝国・イギリス・スコットランドの一節があるくらいなので・・・。


 こんなことを書いていましたが、おととい、再読終了しました。

 1989年以降のソ連・東欧の民主化(+ソ連・ユーゴスラビアの解体)&市場統合から通過・政治統合へと向かうECという、20数年前の状況からすると、「統合の分裂のヨーロッパ」は「西欧の統合&東欧の分裂」を指すように思えますが、本書で指しているのはそうではなく、西欧における統合とそれに反するかのような分裂の動き――。
 序章には端的に、このように書かれています。
 
 「社会学的文化(ソフトな文化)」の国境を超えた拡大と、「人類学的文化(ハードな文化)」への回帰とが並存する状況というふうにも表現できる。

 サブタイトルの「EC・国家・民族」、あるいはそれを一般化した「超国家(連邦)・国家・民族」はヨーロッパ特有のもので、筆者はそれを「三空間並存モデル」と読んでいます。
 その一例として登場するのが、「英帝国・イギリス・スコットランド」。「EC・スペイン・カタルーニャ(+バスク)」というのもありますが・・・。

  ※ ロイターにこんな記事がありました。
         → コラム:「スコットランド後」も消えないカタルーニャ独立問題

 そのほか、多文化主義をめぐる問題や西欧で極右が台頭する背景などが、分かりやすく描かれています。
 また、「相違主義」と「平等主義」のそれぞれにおいて人種主義・反人種主義が存在しうるというタギエフの議論は、20年前に読んだ時、新鮮に思えた・・・というのを思い出しました。
 ただし、これが現在、どのくらい有効なのか?

   問題は、この本が出てからの20年間で変わった点をフォローし切れていないこと。

 この問題は、統合ヨーロッパの民族問題と一緒です。。

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 序章 新しい現実・新しい方法
第Ⅰ部 「三空間並存時代」の到来
 第一章 EC・国家・地域――ヨーロッパの社会空間はどう変わるか
   1 「国境なきヨーロッパ」と地域・民族
   2 国境をまたいだ広域圏
   3 アイデンティティの多様性と可変性
 第二章 「三空間並存モデル」を応用する
   1 連邦・共和国・少数民族――東欧・旧ソ連
   2 英帝国・イギリス・スコットランド
 第三章 EC統合により国家はどう変わるか
   1 変革を迫られる中央集権国家――フランス
   2 ECと共鳴する多民族国家――ベルギー
第Ⅱ部 並存から新たな緊張へ
 第四章 「多文化主義」の実現は可能か
   1 人種・民族対立と「多文化主義」
   2 「多文化主義」とは何か
   3 「多文化主義」の限界――論点の整理
   4 複数の選択肢
 第五章 移民は「国民国家」と両立するか――同化・統合・編入
   1 同化・統合・編入
   2 「相違」と「平等」
   3 三つの国家類型――同化・統合・編入との関連で
   4 フランスの事例からの示唆
 第六章 ヨーロッパの極右はなぜ台頭するのか
   1 西欧諸国における極右勢力の対応
   2 マーストリヒト条約における「二つのフランス」
   3 国民戦線における「フランス」の再定義
   4 ドイツ・ナショナリズムと「相対的剥奪」の拡大
   5 EC指向の「リージョナル=ポピュリズム」――イタリア
   6 共通性と異質性
 終章 ボーダーレス化のなかの民族問題――二つの「文化」の交錯
   あとがき
   主要参考文献
                          (1993年11月22日第1刷発行)

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 これで、9月は終了。今月のエントリー数は30でした。
 ちなみに、8月のエントリー数は31。
 日数以上のエントリーが2ヵ月続いたのは、相当久しぶりな感じ。
 冬に向けてだんだん忙しくなりますが、出来るだけアップしていこうと思います。

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