『先崎学の実況! 盤外戦』 先崎学 (講談社文庫)

 『ナンプレファン4月号』の目次を見ていたら、作家 森博嗣の文字が目に入った。森博嗣、どこかで見た名前だが、誰だっけ? 連載されている「パズルの世界のリアリティ」のページへ飛び、プロフィールを見る。―――国立大学工学部助教授の傍ら、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、ミステリィ作家としてデビュー―――。思い出した!

 この本、全体は3部で構成され、どれもほかの先崎本と比べると、なかなか異色である。

 第1部 毎日がガチンコだ!
   本文庫のための書下ろし。

 これまでの文庫本は将棋雑誌や週刊誌の連載をまとめたもので、書下ろしはなかったはず。この時期は将棋雑誌への連載はなかったと思うが、週刊文春の連載を抱える中、しかも本業も忙しい中、書下ろしを引き受けるなんて凄すぎます。20編のエッセイ、いったいどのくらいで書き上げるのでしょうか。(旧ネタの使いまわしがあるとはいえ)ネタはいったいどうやって調達するのでしょうか。エッセイのネタ集めのために「毎日がガチンコ!」なのでしょうか。・・・失礼しました。そんなわけないですね。でも、疑問を拭い去ることはできないのです。

 第2部 盤外戦七番勝負
   ナンプレファン二〇〇五二月号~二〇〇六年二月号に
   「棋上の星~森羅万象是勝負也」として連載。

 読んだ時はなんとも思わなかったが、ナンプレファンへの連載だったんですね。先崎学&ナンプレファン、森博嗣&ナンプレファン、先崎学&森博嗣、それぞれに縁があるとはね。井上昌己がナンプレファンにエッセイを書かなければ、一生知らずにいるとこでしたよ(知らなくてもまったく問題ないけど)。
 タイトルの「棋上の星」、先崎八段が女神と崇める中島みゆき様の曲をもじったもの、・・・なのだが、内容は「地上の星」とは一切関係ありません。
 お題はデジタル時計VS.アナログ時計、俳句VS.短歌、性善説VS.性悪説、打ち上げ花火VS.線香花火、どこでもドアVS.タケコプター、りんごVS.みかん、将棋VS.囲碁の七つ。どうでもよいテーマもあるが、どれもなんだかんだとオチをつけるあたりは流石です。それにしても、連載は最初から七回の予定だったのでしょうか。後から文庫化される時に「盤外戦七番勝負」と名づけるためとか? 読みが深いです。流石です。

 第3部 先崎学×森博嗣――S&M対談
   二〇〇六年三月二十九日、森博嗣氏自宅で初対面初収録。

 先崎八段が森博嗣のミステリーを読んだことがあるというだけ・・・、初対面初収録でよく「対談」が成立するものだと思います。この本のほかにも、最近も何冊か対談本を読む機会があったが、よく破綻せずに筋の通った話になるものだと感心するしかありません。編集者の「腕」だけではないはず。ふだんから考えを曖昧にしたままにせず、ちゃんと言語化しているから出来るのでしょう。見習いたいものです。

   ・森博嗣の浮遊工作室
   ・MORILOG ACADEMY

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