『科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点』 佐倉統 (講談社ブルーバックス)

 二週間前、書店で久しぶりに佐倉統の名前を目をしました。
 以前、一冊読んだのは『現代思想としての環境問題 脳と遺伝子の共生』。
 過去の記事を遡ると、読んだのは6年前。難解だった記憶しかなく・・・。
 保存しただけで、あげていない『マザーネイチャーズ・トーク』の解説も書いていたんですね――というのは、すっかり忘れていました。

 前に読んだのが難解だったので、買うのに躊躇。
 でも、ページを開くと、いきなりアガサ・クリスティーの文字が・・・。
 各章のエピグラフにクリスティーが引用されていては、買うしかありません。
 そんなわけで、『科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点』。

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科学における「事実」とはなにか?
「普遍的な知識の体系」である科学だが、「いつでもどこでも正しい」わけではない。
なぜか? どう考えればいいのか?
科学を毛嫌いする反知性主義も、過度に信奉する権威的専門家主義も、真に科学的であることはできない。
日本の科学技術力はなぜ衰退しているのか?
疑似科学信仰はなぜ拡大するのか?
研究不正を個人の責任にできない理由とは?
科学の意味を問い直す、「新しい科学論」。

 サブタイトルに三つの視点とありましたが、それが何かが目次から分からず。
 読み進めていっても分からず・・・。
 それもそのはずで、登場したのは終章でした。 

 第一に、生態系では因果関係が複雑に絡みあっているので、一部分だけ見て、良かれと思って変更しても、めぐりめぐって状況を悪化させることがあるかもしれないということ。
 第二に、生態系は長い時間を形成されてきた、進化の産物であるということ。
 第三に、生態系はそれだけではぼくたち人類の役に立つものではないので、そこから何か有益な資源を得ようと思ったら、生態系を飼い慣らす必要があるということ。

 これらの提示を終章まで遅らせた理由は――。

 方法論は通常、本論を始める前に提示しておくものである。だが、背景となる一般的で抽象的なモデルの話を最初にしても、あまり読者の興味を惹かないのではないかと思い、具体的な科学技術の話題が終わった後に説明することにした。

 一理ありますが、個人的には最初に提示されていたほうが分かりやすいです。
 終章から読んだほうがよかったかも――ということで、これは再読ですね。

 あとがきには、クリスティーについての裏話――。

 最初の二章のエピグラフがたまたまクリスティーだったのが運の尽き。それらの初稿ができて担当編集者の倉田卓史さんに見せたとき、彼が「全部クリスティーだとおもしろいですね~」と、ソフトに、ジェントルに、しかしきっぱりと圧力をかけてくださったのだ。

 難解と思いつつも買わざるを得ず、私にとっても運の尽き(笑)
 エピグラフで使われていたのは、『雲をつかむ死』・『カーテン』・「負け犬」(『クリスマス・プディングの冒険』所収)・『象は忘れない』・『満潮に乗って』・『カーテン』・『ひらいたトランプ』・「第四の男」(『死の猟犬』所収)・『アクロイド殺し』)・『鳩の中の猫』。
 すべて既読で、この一年以内に読んだのも複数あるのですが、引用部分に覚えはなく・・・。これらも再読ですね。

 今読んでいるのは、『アガサ・クリスティー自伝(上)』。
 以下の部分に既視感が――。

 わたしにはこの南アフリカの戦争の記憶はほとんどない。重大な戦争などとは考えられていなかった――”クルーガーをいましめてやる”程度のものであった。英国人のいつもの楽天主義から”数週間のうちにはすべて片づく”ものとされていた。一九一四年にもわたしたちは同じ文句を聞いた。”クリスマスにはすべて片づく”。(P176)

 並行して読んでいた本書で、2,3日前に目にしたばかりでした。

 当初はほんの数ヵ月、クリスマスまでには終わるという見通しで一九一四年七月二八日に始まったこの戦争は、終わってみればなんと四年半の長きにおよぶ、世界史上未曾有の総力戦となり、ヨーロッパ中を恐怖と荒廃のどん底に落とし入れたのだった。(P107)

 買う決め手がクリスティーだったので、クリスティー絡みになってしまったのでしょう・・・。
 というのは科学的でなく、まったくの偶然でした。。

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はじめに──新しい科学論が必要な理由
第1章 「なぜ」「どのように」科学について語るのか?
第2章 科学の事実と日常の事実──科学技術の方法論
第3章 科学技術は誰のものか──①近代科学の誕生以前は
第4章 科学技術は誰のものか──②「科学のあり方」が変質していくなかで
第5章 科学知と生活知──科学技術の飼い慣らし方・理論編
第6章 「二正面作戦」を戦い抜くために──科学技術の飼い慣らし方・実践編
第7章 「今」「ここ」で科学技術を考えること
終章──科学技術を生態系として見る
 あとがき
 ブックガイド――もっと読みたい人のために
              (2020年12月20日第1刷発行)
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