*** 甲信地方の雪と雨 (3/13) ***

 きのうは12日午後に発表されたFSAS24について書きましたが、この天気図の予想対象時刻は13日9時。
 実際はどうだったか、実況の地上天気図とAXFE578を並べたのが下の画像。

SPAS_2021031309.jpg

 低気圧が本州南岸を進んでいて、明け方には今年初のキロクアメ ツ
 そして、この後、午後には関東南部で予想以上の強雨・大雨になりました。

 これらについてはすでに書いたので、今回は甲信地方の降水相について――。
 とはいえ、9時時点だと850hPaの0℃ラインは津軽海峡付近まで北上。
 これより前はもう少し気温が低かったとはいえ、雪になるのは高標高エリアに限定される――という見解でした。

 実際はどうだったか・・・。
 12日夜は一時的に甲信地方を担当したので、保存していた12日18時初期値MSMの断面図を並べつつ、振り返ってみます。

 最初は、松本(標高610メートル)。
 900hPa気温が低いのは13日6時で、0.3℃。
 0℃以上の層は400メートル前後です。

msm_2021031209z_matsumoto.png

 実況は5時まで雨でしたが、6時に5.5ミリの降水で気温急低下(2.9→0.7)。
 5時過ぎから11時頃まではみぞれで経過し、この間、8時のみ積雪深1cmを観測しました。

 続いて、諏訪(標高760メートル)。
 900hPaの気温は松本より高く、850hPaと内挿すると、0℃以上の層は600メートル以上。
 松本より標高は高くても、0℃以上の層は厚めと推定していました。

msm_2021031209z_suwa.png

 実況は気温が下がり切らず、雨で経過。
 9時に時間5ミリと降水強度が強まっていますが、気温は上昇。
 MSMの予測と同様の変化を示していたと考えられます。

 3地点目は、原村(標高1017メートル)。
 諏訪と違って、850hPaの気温はプラス。800hPaと内挿すると、0℃以上の層は800メートル前後。
 諏訪よりさらに標高高いですが、これなら雨ですが・・・。

msm_2021031209z_hara.png

 実況は、5時・6時に時間2~3ミリの降水があり、気温は0℃台に。
 原村は自動観測の天気や積雪深がないですが、中央道の実況からすると、はっきり雪に変わったと考えられます。
 MSMの気温より悪め(低め)に考えていてよかったです。

 4地点目は、軽井沢(標高999メートル)。
 850hPaの気温は0.3℃。800hPaと内挿すると、0℃以上の層は500メートル以上。
 これなら降水相が変わるかどうかですが、原村の話もあるので・・・。

msm_2021031209z_karuizawa.png

 実況は2時頃と6時頃にみぞれに変わったほかは、雨経過。
 6時に時間3ミリまで降水が強まったものの、気温は1.6℃までしか下がりませんでした。
 原村の実況を考えると、雪に変わってもおかしくなかったですが・・・。
 松本1cm、軽井沢0cmは、わりと珍しい組み合わせと思います。

 5地点目は、河口湖(標高860メートル)。
 3時の0℃以上の層は、800hPaと850hPaの気温を内挿すると800メートル以上。6時は1000メートル以上。
 長野県内の地点に比べると降水が強まりますが、この気温ならさすがに雨と思っていたのですが・・・。

msm_2021031209z_kawaguchiko.png

 実況は5時からみぞれに変化し、9時過ぎまで継続。
 5時には3.1℃あった気温は時間5ミリ以上の降水とともに低下し、6時は0.4℃。
 断面図からは読み取れないほど、急に気温が低下しました。
 ただ、3時から4時も5.5ミリ、4時から5時に4.0ミリの降水を観測していたのに、この間の気温低下は緩やか(3時:4.1℃→4時:3.5℃→5時:3.1℃)。
 降水強度がそれほど変化していないのに、5時頃を挟んで気温の変化傾向が変わったのはなぜなのか? が、残された課題です。

 最後に、今回もっとも積雪深が増えた開田高原(標高1130メートル)。
 0℃以上の層は300メートル前後でした。

msm_2021031209z_kaidakougen.png

 実況は13日に日付が変わった地点で気温0℃台でしたが、積雪深は増えず。
 5時・7時に1cmずつ増えていますが、降水量(5時:6.5ミリ、6時:5.0ミリ)ほどではなく、上空の気温が高く、雪質が湿っていたことが関連していると思います。

 ただ、標高が2000メートルを超えると話は別で――。
 以下、中央アルプス・駒ヶ岳ロープウェイのサイトよりの引用です。

千畳敷周辺では昨日から雪が降り続いています。本日の昼現在で積雪量は310cm。観測地点で50cm増えています。湿った重い雪が半凍結した雪面に積もっており、以降、雪崩が発生する可能性が非常に高いと思われます。


 実際、翌14日、雪崩による事故が発生してしまいました。



 当日は雪崩注意報が出ていましたが、前日(13日)に気象台から発表されていたのは大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報
 確かに、13日の時点で呼びかけるべきは大雨・雷・突風。
 ただ、登山者の行動を考えると、山岳エリアの雪崩リスクを呼びかける情報が必要だったかもしれません。
 難しいところですが・・・。


 ※ 天気図は気象庁のHPより引用しました。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

navarea11
2021年03月20日 08:30
3月13日の降雪は、低気圧の中心から観て西側に位置したこともあり、かなり荒っぽい変化になったのではないか?と思われますが、いかがでしょうか。
関東地方は、雷を伴った大雨が観測された日であり、レーダー画像からの追跡も必要だった・・・と言うところかも知れません。
パターンこそ違いますが、1990年12月11日を思い起こしました。そこでも思ったことですが、「閉塞点にあたる低気圧は。一筋では行かないぞ」ということでしょうかね。
たかはし
2021年03月28日 19:07
コメントありがとうございます。
閉塞点にあたる低気圧は一筋縄ではいかない――はその通りですね。
あげられた「1990年12月11日」の事例を調べてみます。