『國語元年』 井上ひさし (新潮文庫)

 先月読んだ『名著ではじめる哲学入門』に意外な名前が出てきました。
 井上ひさし――。
 ポジティブではなく、ネガティブな例えとしてですが・・・。

 小説家の井上ひさしさんはリベラルで良識的な知識人としての顔をもっていましたが、家庭では妻にひどいDVをおこなっていたというのは有名な話です。もちろん、だからといって彼の作品の価値そのものが下がるわけではないでしょう。しかし、DVについては完全にだんまりを決め込み、みずからのDVが問題視されるようになってからも何事もないかのように公的活動をつづけた点からいえば、彼の人格は彼のリベラルな発言ほどは立派ではなかったのでしょう。(P39)

 DVの件、Wikipediaにも載っていました。

 そんなわけで(⁉)、実家の本棚から井上ひさしを1冊。
 『國語元年』を選んで持ち帰りました。

 國語元年用「買ってください」方言分布図(明治初年当時)――。
 この表紙はまったく記憶がなく――ということは、読んだこともないはず。。

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明治七年、文部省官吏南郷清之輔は「全国統一話し言葉」の制定を命じられた。織田信長や太閤秀吉の天下統一にも比すべき大事業! しかし彼の家では家族、奉公人など十の方言が入り乱れて大混乱...…(「國語元年」)。ほかに、無名の国語学者の珍無類の生涯(「国語事件殺人辞典」)と、「軽い馬鹿」たちが巻きおこす爆笑の選挙戦(「花子さん」)を併録する、戯曲版・井上ひさし日本語連続講座!

 表題作・國語元年のほか、国語事件殺人辞典花子さん
 時間がかかると思っていたら、意外とすんなり読めました。

 國語元年Wikipeidaにページがありましたが、田中不二麿が実在の人物だったとは・・・!
 ほかにも、いろいろなネタが織り込まれていて、興味深かったです。

 花子さんの中に出てくる「大手ビール会社の黒ビールのコマーシャル」――。

「昨夜、どこへ行ってたの」
「そんな昔のことは覚えていない」
「今夜、逢ってくださる」
「そんな先のことはわからない」(P162)

 大手ビール会社ではなく、某保険会社のCMで聞いたことがあるような気がしましたが、検索しても引っかからず・・・。
 結果として表示されるのは、映画・カサブランカだけでした。
 CMでもあったのかもしれませんが、モトネタはカサブランカなのでしょう。

 花子さんには、市川に関わる固有名詞が登場します。
 国立国府台病院が太平洋戦争中は陸軍病院だったとか・・・。
  (→ 市川市の戦争遺跡2(陸軍病院、総寧寺の境界標石、陸軍射撃場)
 真間山の境内(P196)とは、弘法寺のことでしょうか・・・。

 井上ひさしは市川市内に20年ほど住んでいたんですね。
 こちらの記事を見つけ、残念・・・!
 
市川市文化会館大規模改修工事に伴い、令和2年9月27日(日)をもって公開を終了させていただきます。

 一週間早く気づいていれば・・・。
 改修工事後の復活に期待しましょう。

 これで先月、実家から持ち帰った4冊はすべて読了。
 井上ひさしの文庫本はほかにも数冊あるので、次の帰省時に――。

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国語事件殺人辞典
花子さん
國語元年
   解説 扇田昭彦
    (平成元年十月十五日印刷 平成元年十月二十五日発行)

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