『終りなき夜に生れつく』 アガサ・クリスティー 矢野聖子 訳 (クリスティー文庫)

 『アガサ・クリスティー完全攻略[決定版]』に載っている100冊も残り15冊。
 この中で、星5つの高評価、全体でも3位に推されているのが『終りなき夜に生れつく』。水曜日に買い、きょう読了しました。

  (画像はHayakawa Onlineより)

誰が言い出したのか、その土地は呪われた〈ジプシーが丘〉と呼ばれていた。だが、僕は魅了された。なんとしてでもここに住みたい。そしてその場所で、僕はひとりの女性と出会った。彼女と僕は恋に落ち、やがて……クリスティーが自らのベストにも選出した自信作。サスペンスとロマンスに満ちた傑作を最新訳で贈る。(解説:真瀬もと)

 霜月蒼の評も、かなり力が入っています。

 繰り返そう、これは傑作だ。ここには、これまでクリスティーが描いてきたほとんどすべてのモチーフが投入されている。総決算。しかもそれが比較的みじかい尺のなかで緊密に凝縮されているのだ。暗く美しい結晶のように。
 ここにはクリスティーのすべてがある。
 だから是非ともすべてのひとに本作を読んでいただきたい。これから私は本作についての評言を書き連ねることになるが、言いたいことは煎じ詰めればただひとつ、「すごいから読め」に尽きる。

 以下はネタバレ含むので、未読の方はご注意を――。

 『終りなき夜に生れつく』はメアリ・ウェストマコット名義と思っていたくらい、なじみがなかった作品。
 これまで読まなかったのがもったいない――と思うくらい、やられました。
 
 カバーに載っている登場人物は以下の通り――。

マイケル(マイク)・ロジャース  主人公
エリー(フェニラ・グートマン)  大富豪
コーラ・ヴァン・スタイヴェサント エリーの継母
フランク・バートン        エリーの叔父
アンドリュー・リピンコット    エリーの信託管理者
ルーベン・パルドー        エリーの従兄
グレタ・アンダーセン       エリーの世話係
スタンフォード・ロイド      エリーの財産管理人
クローディア・ハードカッスル   エリーの友人
フィルポット           村長
エスター・リー          占い師
ショー              医師
ルドルフ・サントニックス     建築家

 主人公、大富豪・・・などそっけないですが、終盤、ここには現れない人間関係が明らかになってきます。

 ルドルフとクローディアは腹違いの兄妹だった。
 コーラとクローディアは友人だった。
 クローディアとスタンフォードは元夫婦で、「あの日」両者に似た人物が会っていた(のをマイケルが目撃していた)。
 「あの日」ルーベンがコーラに会いに来た。

 何やら複雑になってきましたが、鍵を握るのはクローディア? と思ったら、殺されてしまい・・・。

 それにしても、残り40ページほどになってからの急展開!
 『ナイルに死す』的な人間関係は読めませんでした。
 さらに、『アクロイド殺し』的な要素もあったんですね。
 クリスティーのすべてがあるという評も頷けます。

 分かってみれば、序盤からの様々な伏線も深すぎて・・・。
 登場人物には載っていないですが、マイケルの母の存在は重かったですね。

 (2011年10月15日発行 2018年7月25日3刷)

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