『エコロジー的思考のすすめ ――思考の技術』 立花隆 (中公文庫)

 本棚に眠っていた立花隆の『エコロジー的思考のすすめ ――思考の技術』。処分する前に――ということで、再読しました。
 この文庫本の発行は1990年ですが、日経新書『思考の技術・エコロジー的発想のすすめ』が出版されたのは1971年5月。書かれたのは半世紀近く前で、立花隆の事実上の処女作のようです。

 まずは、エコロジー=生態学の定義から――。

 生態学は、生物学の一分野である。生態学という名前の名付け親である十九世紀中葉の生物学者、E・ヘッケルは生態学をこう定義している。
「生態学は生物と環境および共に生活するものとの関係を論ずる科学である。」
 エコロジーの語源は、ギリシアのoikos(家、経済)logos(論理)で、経済学のエコノミーと同じ語源である。生態学とは、生物界という自然の経済学であるといってよいかもしれない。(P29)

 エコロジー的思考=生態学的思考とは――。

 生態学を一言でいうなら、関係の学問といえるかもしれない。生態学的思考とは、正しい関係づけの上にたつ思考ということでもある。(P33)

 この直後に、生態学的関係について引き合いに出される話が出てきます。

IMG_20190917_174551.jpgIMG_20190917_185620.jpg

 エコロジー的思考が必要なのは、文明がもたらした環境破壊に対応するため。人間と文明と自然環境の関係の理解には、関係の学問であるエコロジーの思考が必要、という主張です。
 半世紀経っても状況は変わらず、というより悪化しているわけで、数10年~数100年のスパンだけはなく、もっと長いスパンでの視点が必要なのでしょう。目先のことばかりで、数10年ですら、かなり長く感じてしまうのが現実・・・。
 答えが出なくても、時々はこのようなことを考えないといけませんね。

 状況が悪化しているので、本書の視点は今でも有効ですが、半世紀近く前なので、たとえが分かりかねます。。

 ドストエフスキーの「各人はすべてのことについて、万人に責任がある」ということばは、人工システムをも含めた自然のシステムがトータルシステムを成しているという意味合いにおいては全く真実であるが、この緩衝作用を考えに入れれば必ずしも正しくない。藤圭子は、"女のブルース"を歌ったことによって、マンソンがシャロン・テートを殺したことにも責任を持たねばならないだろうか。(P61-62)

 藤圭子はともかく、マンソンやシャロン・テートは初めて見る名前。
 Wikipeidaで確認すると、女のブルースがリリースされたのは、1970年2月5日。チャールズ・マンソンの信奉者がシャロン・テートを殺害したのは、その半年前の1969年8月9日。時系列的に逆ですね・・・。

 これも当時より状況が悪化している点ですが――。

 ところで問題なのは、最近、人間のエネルギー使用が気候におよぼすほどの影響を与えはじめたことである。(略)
 そうなると、これまで太陽熱の受けとめ方によって決まっていた熱帯、温帯、寒帯、そしてそれを結ぶ空気の流れ以外に人為的なエネルギー使用過多による、熱帯、温帯、寒帯とそれに十なう空気の流れが生じ、地球上の気候現象に創造を絶するほどの混乱をもたらすだろうといわれる。
 もしかすると、気象の混乱はすでにはじまっているのかもしれない。天気予報が当たらないのもそのせいかもしれない。(P110-111)

 これまでになかったような激しい現象が起こるのは「そのせい」もありますが、天気予報が当たらないのは「そのせい」ではありません。
「そのせい」に出来れば楽ではありますが、さすがに無理筋です。。

--------------------------------------------------------------
 はしがき
 プロローグ――思考法としてのエコロジー
Ⅰ 人類の危機とエコロジー
 1 エコロジーの登場
 2 閉ざされた地球――エコシステム
 3 生命と環境
 4 文明と自然は調和しうるか?
Ⅱ エコロジーは何を教えるか
 5 システムのエコロジー
 6 適応のエコロジー
 7 倫理のエコロジー
 8 生存のエコロジー
 エピローグ――自然を恐れよ
 文庫版あとがき
   (1990年11月25日印刷 1990年12月10日発行)

--------------------------------------------------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント