『象は忘れない』 アガサ・クリスティー 中村能三 訳 (クリスティー文庫)

 先月の帰省で持ち帰った『愛国殺人』・『第三の女』・『雲をつかむ死』はすでに再読完了。
 この勢いでもう一冊――の候補は『ゴルフ殺人事件』。
 『雲をつかむ死』には登場しなかったものの、ポアロがその手法を酷評(!?)していたジロー刑事。
 どんな感じなのか確かめたかったので・・・。

 イオンスタイルの宮脇書店にないのは分かっていたので、向かったのはマリンピアの未来屋書店。
 ・・・が、意外にもここにもなく、代わりに買ったのは『象は忘れない』。
 1923年刊行の『ゴルフ殺人事件』に対し、1972年刊行の『象は忘れない』(その差は49年!)。
 『カーテン』が1943年に書かれていたことを考えると、事実上のポアロ最終作です。

   推理作家ミセス・オリヴァが名づけ親になったシリヤの結婚のことで、
   彼女は先方の母親から奇妙な謎を押しつけられた。
   十数年前のシリヤの両親の心中事件では、
   男が先に女を撃ったのか、あるいその逆だったのか?
   オリヴァから相談を受けたポアロは"象のように"記憶のよい人々を訪れて、
   過去の真相を探る。


 Wikipediaによると、タイトルは英語の諺「An elephant never forgets.:象は(恨みを)忘れない(そして必ず報復する)」に由来するのだそうです。
 12年前の「心中事件」に真相に迫るポアロ。
 ミセス・オリヴァが登場することに加え、かつらがキーになるのが、『第三の女』との共通点です。
 『第三の女』と本作の間の『ハロウィーン・パーティ』にも登場するミセス・オリヴァ。
 晩年のクリスティーにとって、思い入れのあるキャラクターだったことがうかがえます。

 本作で扱われているのは「回想の殺人」。
 ミステリーっぽくないのは、リアルタイムで事件が起きないからでしょう。
 それでも、数少ない材料から真実を探り出していくポアロはさすがです。
 そして、真実を知ることに躊躇しない若い二人も――。

 同様に「回想の殺人」を扱ったものとして、『五匹の子豚』・『ハロウィーン・パーティ』・『マギンティ夫人は死んだ』が本作の中で触れられています。
 『五匹の子豚』・『ハロウィーン・パーティ』は前に当ブログで書きましたが、すでに記憶が・・・。
 『マギンティ夫人は死んだ』は実家にもないと思うので、クリスティー文庫を買うしかないですね。

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 1 文学者昼食会  2 象に関する最初の言及
第一部
 3 アリスおばさんの手引き  4 シリヤ  5 過去の罪は長い影を引く  6 旧友の回想
 7 ふたたび子供部屋に  8 ミセス・オリヴァ活動中  9 象探しの成果  10 デズモンド
第二部
 11 ギャロウェイ警視とポアロ覚え書を検討する  12 シリヤ、エルキュール・ポアロに会う
 13 ミセス・バートン=コックス  14 ウィロビー医師
 15 ユージン・アンド・ローズンテル、ヘア・スタイリスト・アンド・ビューティシャン
 16 ミスタ・ゴビーの報告  17 ポアロ出発を告げる  18 間奏曲
 19 マディとゼリー  20 審問廷
   解説 芦辺拓
                   (2003年12月15日発行 2012年11月25日四刷)

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