『ゼロの焦点』 松本清張 (新潮文庫)

 『点と線』に続き、一気に読みました。
 タイトルだけは知っていましたが、こんなストーリーだったんですね。
 新潮文庫版は『点と線』と同様、平野謙の解説が分かりやすいです。

 田沼久子が投身自殺することによって、かえって憲一も久子もなにものかによって巧妙に殺されたのだ、と推定されないこともない。青酸カリ入りのウイスキーによる毒殺という手口とおなじように、投身自殺という偽装工作の手口もまた同一である。となれば、いよいよ真犯人はだれかという解決編にはいってゆくのも必至となるわけである。しかし、その解決編を読みおわっても、なぜ宗太郎や本多は殺されねばならなかったか、という疑問に十全な解決が与えられているとはいいがたいのである。憲一と久子とが死ねば充分であって、宗太郎や本多を殺す必要はなかった、というのが私のひそかな意見である。(P479)

 「殺す必要はなかった」というのもありますが、「本当に殺す気があったのか?」もちょっとした疑問。
 青酸カリ入りのウイスキーを本人、または第三者に手渡し、犯人自身はその場にいない――。
 宗太郎も本多も、そのウイスキーを飲むかどうかは本人の意志次第。
 私が犯人で本当に殺す気があるなら、こんな危ない(?)手は使えません。。
 さらに解せないのは、宗太郎が青酸カリ入りウイスキーで毒殺されたことを、本多は知っていたこと。
 一連の事件を調べていた本多が同じ手口で殺されるなんて、間が抜けています。。

 とはいえ、この評価にしては、まったくの同感です。

 推理小説としては多少の隙間があるにしても、一個の文学作品としてはやはり松本清張の秀作のひとつだ、というのが私の意見である。(P480)

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  ある夫  失踪  北の疑惑  地方名士  海沿いの墓場  義兄の行動  前歴  
  毒死者  北陸鉄道  逃亡  夫の意味  雪国の不安  ゼロの焦点
      (昭和46年2月20日発行 平成20年12月15日112刷改版 平成21年2月15日113刷)

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 舞台は昭和33年の設定なので、Wikipediaにあるように、現在と状況はかなり違います。

   作中人物が北陸鉄道各線を利用する場面があるが、作中に描かれるシーンのうち、
   石川線の一部区間は現在でも営業されているものの、同線の白菊町駅を含む区間や、
   能美線、能登線はすでに廃止され、状況が変化している。


 なので、昭和37年発行の鉄道路線図を手もとに置きつつ――。

画像

 これを見ているだけでも、あきませんね。。

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