『ローマ人の物語 12 ユリウス・カエサル ルビコン以後〔中〕』 塩野七生 (新潮文庫)

 『ローマ人の物語 10』のエントリーから4日――。
 『ローマ人の物語 12』に入る前に、6年前にエントリーした『ローマ人の物語 11』について補足!?

 カエサルがルビコンを越えてから六日後、カエサル軍が、カッシア、フラミニア、ヴァレリアという、北と西からローマに入る幹線道路三つともを押さえた日から三日後、そしてポンペイウスが発ってからわずか一日後の"都落ち"であった。(P21)

 ローマから東にあるコルフィニオに向かってのびているのがヴァレリア街道。
 なので、ヴァレリア街道は「東からローマに入る街道」のはずですが・・・。
 6年前の再読では、ポンペイウスが殺害された日にこだわっていて(?)、この箇所は気づきませんでした。。

 この12巻には、カエサルが行った公共事業の一つとして、次のように触れられています。

 二、ローマから東に走るヴァレーリア街道の、アドリア海までの延長工事。これも、帝政期に入って実現。(P191)

 「ローマから東に走る」=「東からローマに入る」ですよね。

 で、この12巻の大まかな内容――。

カエサルは、ギリシアでのポンペイウスとの直接対決に勝利し、地中海のほぼ全域を掌握する。しかし首都ローマでは、カエサルの片腕アントニウスの失政により、兵士の従軍拒否、経済停滞という事態が生じていた。帰国後カエサルは巧みな手腕でこれを解決。北アフリカとスペイン南部で相次いで蜂起したポンペイウス派の残党をも制圧する。その間にも、新秩序樹立のために数々の改革を断行していくのだが……。

 ポンペイウス派の残党を破りつつ、ローマではアントニウスの失政を解決後、帝政に向けて改革を着々と・・・。
 戦時だけでなく、平時での統治能力も天才的だったというしかありません。
 啓蒙思想のかけらもない時代、その基本精神が「寛容」だというのも、時代の先を行っています。

 「ユリウス・カエサルに元老院と市民集会が与えた栄誉と権威と権力」として最後にあげられているのは――。
 
十六、カエサル政治の基本精神である「寛容(クレメンテイア)」を神格化し、「カエサルの寛容(クレメンテイア・カエサリス)」をと名づけた神殿の建立を認めたこと。(P196)

 本文中に引用されている、ブルクハルトの『世界史についての諸考察』の一文。
 もっとも当てはまるのは、カエサルなのかもしれません。
 (このように引用しているということは、塩野七生もそう考えてるのでしょう)

 歴史はときに、突如一人の人物の中に自らを凝縮し、世界はその後、この人の指し示した方向に向かうといったことを好むものである。これらの偉大な個人においては、普遍と特殊、留まるものと動くものとが、一人の人格に集約されている。彼らは国家や宗教や文化や社会危機を、体現する存在なのである。……
 危機にあっては、既成のものと新しいものとが交ざり合って一つになり、偉大な個人の内において頂点に達する。これら偉人たちの存在は、世界史の謎である。(P105)


 稀有な才能を示したのは、後継者選択についても――ということで、13巻に入り、早くも約半分終了。
 この勢いだと、あすには読み終えますが、ほかの未読ものに移るべきか、考え中です。

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第六章 壮年後期 Virilitas(承前)
      紀元前四九年一月~前四四年三月(カエサル五十歳-五十五歳)
  「来た、見た、勝った」
  カエサルとキケロ  政治家アントニウス  アフリカ戦役  タプソス会戦  小カトー  凱旋式
  国家改造  暦の改定  通貨改革  ムンダの会戦  遺言状  「帝国」へ  市民権問題
  政治改革(元老院/市民集会/護民官/終身独裁官)  金融改革  行政改革
  「解放奴隷」登用  属州統治  司法改革
  社会改革(福祉政策/失業対策・植民政策/組合対策/治安対策/交通渋滞対策/清掃問題
  贅沢禁止法)  首都再開発  カエサルのフォールム  教師と医師  その他の公共事業
  カエサルの特権  不満な人びと
                            (平成16年10月1日発行)

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