『平成不況の政治経済学 成熟化社会への条件』 佐和隆光 (中公新書)

 何冊か持っている佐和隆光の新書。
 例によって散逸しているので、正確に何冊あるのか分かりませんが・・・。

 本書が初めて読んだ佐和隆光の本――とも思ったのですが、カール・ポパーの名前も、「反証不可能な理論は科学的とはいえない」も登場していないので、違うようです。
 ・・・とすると、『市場主義の終焉――日本経済をどうするのか』だったか・・? 探してみます。。

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第一章 世界が変わり日本が変わった
第二章 平成不況があらわにした日本経済の「構造」
第三章 日本経済の成熟化
第四章 日本型制度・慣行の自己崩壊
第五章 「変節」迫られる経済政策
第六章 これからの政治そして経済
  あとがき
            (1994年1月15日印刷 1994年1月25日発行)

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 本書が発行されたのは20年前。
 タイトルの「平成不況」は、バブル崩壊後に起こった不況を指しています。
 数年後、山一證券や北海道拓殖銀行(+德陽シティ銀行・・・)の経営破綻など、さらに深刻な状況になることは想定されていませんが、当時を興味深く振り返ることができました。

 後から読むと、当然、想定通りいかないことはあるわけで・・・。
 第六章から引用すると――(P206-207)。
 
 結局、今次の不況のゆくえが、細川内閣の「思想」の所在を明らかにし、その次第によって内閣の命運が左右されるであろう。

 結局、不況のゆくえと関係なく、「思想」も分からないまま、投げ出してしまいましたが・・・。

 さて、不況がさらに深刻化した場合、政界再編成の構図はいかなる様相を呈することになるのだろうか。私は次のように考える。自民党は再三にわたる分裂をくりかえし、新生党、公明党、日本新党の一部を核とする保守派と、新党さきがけと日本新党の一部を核とするリベラル派のいずれかに糾合されてゆくにちがいあるまい。他方、社会党と民社党も事実上解体し、連合を支持基盤とする社会民主党に糾合されるであろう。要するに、保守派、リベラル派、社民派に勢力は三分され、おそらくはリベラル派がキャスティング・ボートを握ることになろう。いいかえれば、アメリカ型の保守とリベラルの二党制ではなく、イギリス型の三党鼎立が、もっともありうべき政界の構図である、と私は考えている。

 社会民主党という政党はありますが、「糾合」ではなく、社会党のなれの果て・・・。
 民主党が政権を取った時は、二大政党制の時代とも言われましたが、一時の話。
 現在は、二党制ではなく、三党鼎立でもなく、一強多弱・・・。
 何ごとも、先を予想するのは難しいのです。

 ついでに、もう一つ――。

 ルールを明文化し、ルール違反を厳罰に処することが、市場を自由、透明、公正にするための必要条件なのである。しばしば日本型システムが「不公正」であるとの批判をこうむりがちなのは、結局、この国の人びとそして政府が、ルール違反にたいしてあまりにも寛容すぎるためではないだろうか。こうした日本型慣行を世界にみならわれたのでは、たまったものではない。
 一九八八年六月のリクルート事件の発覚、佐川疑惑の摘発、金丸信元自民党総裁による脱税の摘発、大手ゼネコンの自治体首長への贈賄の摘発など、八〇年代末からこの方、ルール違反の摘発を通じての自浄作用がこの国にもようやく働きはじめたことを、私は喜ばしく思うと同時に、一連の自浄作用の働きは、日本を正真正銘の自由主義国家にするための、避けて通れぬ道であることを強調しておきたい。(P102-103)


 目玉の女性閣僚5人のうち、一日で二人(小渕優子+松島みどり)が辞任という・・・。
 疑獄事件とは意味合いは違いますが、自浄作用が働いているようには思えません。
 政治家はもちろんのこと、有権者も変わらないとダメなのでしょう。
 「正真正銘の自由主義国家」への道は遠いようです。。

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