『アメリカの20世紀(下) 1945年~2000年』 有賀夏紀 (中公新書)
『アメリカの20世紀』の下巻を読み終えました。
大統領でいうと、トルーマンからブッシュ(息子のほう)まで。
自分が子供の頃はカーター大統領で、レーガン→ブッシュ→クリントン→ブッシュの期間は同時代のこととして知っているはずなのですが、そういえば・・・と思い出したことも少なくありません。
イラン=コントラ・スキャンダル、トマス判事のセクハラ問題、パナマのノリエガ将軍、O・J・シンプソン、モニカ・ルウィンスキー問題によるクリントン弾劾裁判・・・。2000年の大統領選挙(ブッシュvsゴア)は最終的に最高裁が決着をつける、なんてこともありました。
久しぶりに目にする事件・人名もありましたが、最近、覚えた(・・・というより、思い出した)言葉も・・・。
民主党内部では、一九八〇年、八四年のレーガン勝利の衝撃を受け、それまでのリベラル路線からの変更を必要と考える政治家が現われた。彼らは「新しい民主党」を掲げて「民主党指導者評議会(DLC)」を組織したが、そのひとりがアーカンソー州知事クリントンだった。
戦後のアメリカや西欧のリベラリズムは以下の三つの段階を経てきたといわれる。すなわち、七〇年代に至る、資本主義体制における社会の平等を達成しようとする福祉国家リベラリズム、七〇年代終わり頃から八〇年代に至る、社会の平等よりは自由競争を重視し、富の再配分よりは経済成長を優先するネオリベラリズム、そして八〇年代半ばから九〇年代には、ネオリベラリズムと同じ基盤に立ちながら、個人の権利と社会的責任や社会全体の利益とのバランスが重要だとする「コミュニタリアニズム」が興隆したとされる。DLCはネオリベラリズムないし「コミュニタリアニズム」を代表する政治的な動きだった。「新しい民主党」の立場は要するに保守化したリベラリズムともいえるものであり、たとえば、死刑廃止反対、福祉支給の制限、国防強化、自由貿易市場競争などの立場に立っていた。(P184-185)
コミュニタリアニズム――。『サンデルの政治哲学』のキーワードの一つでした。
この本の内容は難しく、理解できない箇所が多々ありましたが、哲学的・思想的なことは別にして、単純に分からなかったのは、サンデルの政治的スタンスが「明らかに民主党寄り」であるとされていた点。コミュニタリアニズム(共同体主義)や共和主義の立場を取るのであれば、共和党寄りのほうが自然なのでは? と思ったわけです。もっとも、これは民主党=リベラル色が強いというイメージがあるから持つ違和感で、保守化した「新しい民主党」であれば、サンデルの立場に近いわけで、支持する理由になるのでしょう。一九八〇年代以降の共和党は、コミュニタリアニズムというよりは、リバタリアニズムが力を持っているわけですし・・・。
そういえば、『サンデルの政治哲学』の著者で、サンデルと同様の立場である小林正弥も(日本の)民主党を支持しています。日本の民主党はアメリカの民主党よりさらに分かりにくく、思想や哲学が感じられないのですが(日本の場合、民主党だけではありませんが・・・)、いずれにしても、コミュニタリアニズムの論者が「民主党」を支持する状況というのは、一時的なねじれなのか、政党間の垣根が低いので恒常的に起こりうるのか、よく分かりません。。
最後の<「九月一一日」が示すアメリカ――結びにかえて>は、当時、アメリカに滞在していた著者が綴った貴重な証言。9.11以後のアメリカ、ブッシュ政権からオバマ政権への交替、ますます多様化する人口、などを含め、続編・『アメリカの21世紀』を読んでみたいです。
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第6章 冷戦下の「黄金時代」――一九四〇年代後半~一九五〇年代
第7章 激動の時代――一九六〇年代
第8章 保守の時代――一九七〇年代~一九八〇年代
第9章 文化戦争の世紀末――一九九〇年代以降
「九月一一日」が示すアメリカ――結びにかえて
二〇世紀のアメリカを知るための本 写真引用一覧 年表 索引
(2002年10月15日印刷 2002年10月25日発行)
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第二次世界大戦後、「パックス・アメリカーナ」は危機を迎える。ソ連との対立、ベトナム戦争の泥沼化でアメリカの国際的地位は著しく低下した。他方、国内では公民権運動、マイノリティの地位向上や女性解放の運動、ベトナム反戦運動など、社会変革を求める動きが活発化する―。冷戦終結により唯一の超大国となったアメリカは、どこへ向かおうとするのか。国内外の新たな試練にさらされる二〇世紀後半を描く。
大統領でいうと、トルーマンからブッシュ(息子のほう)まで。
自分が子供の頃はカーター大統領で、レーガン→ブッシュ→クリントン→ブッシュの期間は同時代のこととして知っているはずなのですが、そういえば・・・と思い出したことも少なくありません。
イラン=コントラ・スキャンダル、トマス判事のセクハラ問題、パナマのノリエガ将軍、O・J・シンプソン、モニカ・ルウィンスキー問題によるクリントン弾劾裁判・・・。2000年の大統領選挙(ブッシュvsゴア)は最終的に最高裁が決着をつける、なんてこともありました。
久しぶりに目にする事件・人名もありましたが、最近、覚えた(・・・というより、思い出した)言葉も・・・。
民主党内部では、一九八〇年、八四年のレーガン勝利の衝撃を受け、それまでのリベラル路線からの変更を必要と考える政治家が現われた。彼らは「新しい民主党」を掲げて「民主党指導者評議会(DLC)」を組織したが、そのひとりがアーカンソー州知事クリントンだった。
戦後のアメリカや西欧のリベラリズムは以下の三つの段階を経てきたといわれる。すなわち、七〇年代に至る、資本主義体制における社会の平等を達成しようとする福祉国家リベラリズム、七〇年代終わり頃から八〇年代に至る、社会の平等よりは自由競争を重視し、富の再配分よりは経済成長を優先するネオリベラリズム、そして八〇年代半ばから九〇年代には、ネオリベラリズムと同じ基盤に立ちながら、個人の権利と社会的責任や社会全体の利益とのバランスが重要だとする「コミュニタリアニズム」が興隆したとされる。DLCはネオリベラリズムないし「コミュニタリアニズム」を代表する政治的な動きだった。「新しい民主党」の立場は要するに保守化したリベラリズムともいえるものであり、たとえば、死刑廃止反対、福祉支給の制限、国防強化、自由貿易市場競争などの立場に立っていた。(P184-185)
コミュニタリアニズム――。『サンデルの政治哲学』のキーワードの一つでした。
この本の内容は難しく、理解できない箇所が多々ありましたが、哲学的・思想的なことは別にして、単純に分からなかったのは、サンデルの政治的スタンスが「明らかに民主党寄り」であるとされていた点。コミュニタリアニズム(共同体主義)や共和主義の立場を取るのであれば、共和党寄りのほうが自然なのでは? と思ったわけです。もっとも、これは民主党=リベラル色が強いというイメージがあるから持つ違和感で、保守化した「新しい民主党」であれば、サンデルの立場に近いわけで、支持する理由になるのでしょう。一九八〇年代以降の共和党は、コミュニタリアニズムというよりは、リバタリアニズムが力を持っているわけですし・・・。
そういえば、『サンデルの政治哲学』の著者で、サンデルと同様の立場である小林正弥も(日本の)民主党を支持しています。日本の民主党はアメリカの民主党よりさらに分かりにくく、思想や哲学が感じられないのですが(日本の場合、民主党だけではありませんが・・・)、いずれにしても、コミュニタリアニズムの論者が「民主党」を支持する状況というのは、一時的なねじれなのか、政党間の垣根が低いので恒常的に起こりうるのか、よく分かりません。。
最後の<「九月一一日」が示すアメリカ――結びにかえて>は、当時、アメリカに滞在していた著者が綴った貴重な証言。9.11以後のアメリカ、ブッシュ政権からオバマ政権への交替、ますます多様化する人口、などを含め、続編・『アメリカの21世紀』を読んでみたいです。
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第6章 冷戦下の「黄金時代」――一九四〇年代後半~一九五〇年代
第7章 激動の時代――一九六〇年代
第8章 保守の時代――一九七〇年代~一九八〇年代
第9章 文化戦争の世紀末――一九九〇年代以降
「九月一一日」が示すアメリカ――結びにかえて
二〇世紀のアメリカを知るための本 写真引用一覧 年表 索引
(2002年10月15日印刷 2002年10月25日発行)
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第二次世界大戦後、「パックス・アメリカーナ」は危機を迎える。ソ連との対立、ベトナム戦争の泥沼化でアメリカの国際的地位は著しく低下した。他方、国内では公民権運動、マイノリティの地位向上や女性解放の運動、ベトナム反戦運動など、社会変革を求める動きが活発化する―。冷戦終結により唯一の超大国となったアメリカは、どこへ向かおうとするのか。国内外の新たな試練にさらされる二〇世紀後半を描く。
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