『サンデルの政治哲学 <正義>とは何か』 小林正弥 (平凡社新書) 

 一年半ほど前(!?)、書店にはマイケル・サンデルの関連本が平積みにされていました。
 あのブームは一過性だったのかもしれませんが、当時はなぜか盛り上がったんですね。
 そんなブームの中から生まれたのが、この新書。
 帯の推薦文にはサンデル本人が写真入りで登場。気合が入っています。

  日本の読者に私の考えを紹介してくれている小林教授に私は深く感謝している。
  長年にわたり多くを語り合っているので、彼の判断を私は信頼しており、
  私の政治哲学と同時代への示唆について、完全にそして深く、彼は理解してくれている。


 先月読んだ『現代政治学の名著』にロールズの『正義論』が出てきて、途中で挫折していた『サンデルの政治哲学 <正義>とは何か』を思い出し・・・。今回は何とか最後まで読み終えました。
 内容は難しいですが、サンデルの著書をもとに、功利主義やリベラリズム・リバタリアニズムとコミュニタリアニズムの違いから始まり、具体例が多く示されているので、おぼろげながら理解出来たような・・・。
 ロールズの『正義論』の「無知のヴェール」の意味するところも何となく分かったような・・・。
 それにしても、ロールズの『正義論』がこれほどまで影響を与えていたとは知りませんでした。15の著書が登場する『現代政治学の名著』では、ロールズもほかの14人と同様の扱いで、1/15しかページが割かれていません。この手の本では、概略は分かっても、著者・著書を深く知るには限界があるということですね。

 ところで・・・。そのつもりで読んだわけではないのですが、おかしなところが・・・。

(1)P74(2)P286(3)P298
画像画像画像

1)一番左の行。ンデルのロールズ批判となっています。もちろん、正しくはサンデルのロールズ批判

3)一番右の行。競売のによる、って何? 正しくは、競売によるだと思います。

2)これは1)・3)と違って、内容が間違っています。
  間違っている箇所は、一九八六年の大統領選挙
  アメリカの大統領選挙が行われるのは、西暦で4の倍数の年。一九八六は4で割り切れません。。
  ドールとクリントンが大統領選を戦ったのは・・・。正解は一九九六年ですね。

 ほかにもあるかもしれませんが、とりあえず見つけたのは上の3つ。
 ブームが去らないうちに! ということで、急いで進めたため、校正が不十分でした。
 ・・・というのは、うがった見方でしょうか。。

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  はじめに――マイケル・サンデルの政治哲学の全体像
序    新しい「知」と「美徳」の時代へ――なぜ、このような大反響となったのか
第一講 「ハーバード講義」の思想的エッセンス――『正義』の探求のために
  第1章(第1回)   三つの正義観――「正しいことをする」
  第2章(第2回)   功利主義の福利型正義論――「最大幸福原理」
  第3章(第3回)   リバタリアニズムの自由型正義論――「私たちは私たちのものか?」
  第4章(第5回)   市場主義にさらされる道徳――「雇われ助っ人」
  第5章(第6・7回) 道徳的哲学者、カント――「重要なのは動機」
  第6章(第7・8回) ロールズの自由型正義論――「平等のための理由」
  第7章(第9回)   リベラリズムの不条理――「アファーマティブ・アクションを議論する」
  第8章(第9・10回) 正義論の古典的源泉、アリストテレス――「誰が何に値するか?」
  第9章(第11回)   コミュニタリアニズムと忠誠のジレンマ――「たがいに負うものは何か?」
  第10章(第12回)  サンデルの理想――「正義と共通善」
第二講 ロールズの魔術を解く――『リベラリズムと正義の限界』の解読
  ロールズの『正義論』とは
  <正義の首位性>を批判する
  序章  形而上学なき正義論――「リベラリズムと正義の首位性」
  第1章 ロールズの考えている自己とは――「正義と道徳主体」
  第2章 所得は道徳的価値と無関係か?――「所有・適価・分配の正義」
  第3章 <契約>の正体は原理の発見――「契約論と正当化」
  第4章 本当の<コミュニティ>や<善>とは――「正義と善」
  結論  <負荷ありし自己>の友情と省察――「リベラリズムと正義の限界」
  コミュニタリアニズムの出発
  <第二講> まとめ
第三講 共和主義の再生を目指して――『民主政の不満』のアメリカ史像
 第1部 「手続き的共和国の憲法」――共和主義的憲政史
  第1章 <ロールズ対サンデル>の第二ラウンド――「現代リベラリズムの公共哲学」
  第2章 建国の頃は権利中心ではなかった――「権利と中立的国家」
  第3章 中立性の論理で失われたもの――「宗教的自由と言論の自由」
  第4章 性的関係や家族関係をどう考えるか――「プライバシー権と家族法」
 第2部 「公民性の政治経済」――共和主義的政治経済史
  第5章 共和主義的産業を求めて――「初期共和国における経済と美徳」
  第6章 共和主義的な二つの運動――「自由労働と賃労働」
  第7章 二つの革新主義――「コミュニティ、自己統治、革新主義的改革」
  第8章 <善なき経済学>の勝利――「リベラリズムとケインズ革命」
  第9章 <不満>の克服への試行錯誤――「手続き的共和国の勝利と苦悩」
  結論  新しい共和主義のビジョン――「公共哲学を求めて」
  共和主義はいかに生まれ変わるか
第四講 「遺伝子工学による人間改造」反対論――『完成に反対する理由』の生命倫理
  第1章   「増強の倫理」――肯定論に対する挑戦
  第2章   「生体工学的運動選手」――目的論的な増強批判
  第3章   「設計される子供と、設計する親」――愛と<教育の増強>
  第4章   「新旧の優生学」――リベラル優生学批判
  第5章   「支配力と贈り物」――天賦生命観を支える美徳
  エピローグ 「胚の倫理」――道徳的保守派批判
第五講 コミュニタリアニズム的共和主義の展開――『公共哲学』論集の洞察
  序   民主党が選挙に勝つには
 第1部 共和主義的政治評論――「アメリカの公民的生活」
 第2部 市場主義とリベラリズムへの批判――「道徳的・政治的議論」
 第3部 哲学的発展――「リベラル-コミュニタリアン論争の展開」
最終講 「本来の正義」とは何か?――正義論批判から新・正義論へ
   あとがき
   文献案内
                          (2010年12月10日 初版第1刷)

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この記事へのコメント

navarea11
2012年03月15日 20:21
なるほど、確か1986年はレーガンが大統領で、のちのパパブッシュが大統領になる前の頃でしたね。チャレンジャーの爆発事故のあった年です。
そういえば、フロリダって、めちゃくちゃ冷えたと思います。当時のニュースがYoutubeにもありますが、4分台から天気予報があります。40F,50Fですから、0度近いかそれ以下ですから、まあー、ナンというのでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=3G1XSPsugak
なぜかそのことを想い出してしまいます。
たかはし
2012年03月16日 16:58
パパブッシュは当時、副大統領でした。
Wikipediaの「チャレンジャー号爆発事故」には
事故について書かれた著書が引用されていて、
その中にブッシュ副大統領が登場しています。

   通常ならばNASAは降水確率50%ならば打ち上げを
   決行していたはずだが、そうしなかったのは、
   ブッシュ副大統領がホンジュラスに向かう途中で
   立ち寄って発射を見学する予定があったからだという。

発射を見学する予定があったにしても、
こんな理由で発射を延期するとは思えませんが・・・。
navarea11
2012年03月17日 00:13
爆発当時のニュースにもありますが、着氷があって打ち上げが3度ほど延期されたのは確かです。フロリダで0度以下になる例は、殆どありませんから、さしあたり、日本の冬型に幾重も冷気をため込んだ状態だったと言うこともできるかと。うさんくさい政治よりもこっちに目が行くあたりだめかもしれませんね。
たかはし
2012年03月17日 16:39
いえ、気象状況よりも
うさんくさい政治に目が行くあたり、だめかもしれません。。

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