『ローマ人の物語 41 ローマ世界の終焉〔上〕』 塩野七生 (新潮文庫)

 『ローマ人の物語』の文庫本、いよいよ今回が最後の配本です。
 近くの書店に平積みされていたので、さっそく3冊まとめて購入。

 去年は半年かけて最初から読んでいたので、新刊へスムーズにつながりましたが、あれからまったく読んでいません。一年も経つと、当然ながら、すっかり忘れているわけで・・・。
 ・・・かと言って、文庫40冊を読み直す時間も気力もなく、見切り発車です。。

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第一部 最後のローマ人(紀元三九五-四一〇年)
  東西分離  ローマ人と蛮族  将軍スティリコ  後見人  "現場証人"  西ゴート族  アラリック
  地中海が「内海」であった時代  アフリカ、反乱  農民から農奴へ  生産しない人々の増加
  公共心の衰退  侵攻再開  イタリアへ  対決  ガリアを捨てる  凱旋式  ラヴェンナ遷都
  襲い来る大波  迎撃  ローマ帝国の実戦力  フィエゾレの戦闘  ガリアの現実
  毒をもって毒を制す  孤立  謀略  譲れない一線  死  空白  恐喝・その一  恐喝・その二
  「ローマ劫掠」  ローマから去る人々
                  (平成23年9月1日発行)

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テオドシウス帝亡き後、帝国は二人の息子アルカディウスとホノリウスに託されることになった。皇宮に引きこもったホノリウスにかわって西ローマの防衛を託されたのは「半蛮族」の出自をもつ軍総司令官スティリコ。強い使命感をもって孤軍奮闘したが、帝国を守るため、蛮族と同盟を結ぼうとしたことでホノリウスの反感を買う。「最後のローマ人」と称えられた男は悲しい最後を迎え、将を失った首都ローマは蛮族に蹂躙されるのであった…。

 読んでいるうちに思い出した登場人物もいますが、本書に登場する中でもっとも重要な人物であるスティリコは、初めてその名前を知りました。「最後のローマ人」ですか。
 「最後のローマ人」と特定出来るのは、この時代には、ローマ人の精神を持った指導者層がすでに失われていたことを示しているのでしょう。

 同時代人の誰よりも「ロマーヌス」と思い、そのローマ帝国を守ってきた彼が、今兵を挙げようものならそれは即、ローマ帝国を倒すことになる。そしてそれは、「ローマ人」ではなく、「蛮族」として行動することを意味していた。これが、彼には耐えられなかったのだ。四十八年間の「ローマ人」の後で「蛮族」にもどることが、耐えられなかったのであった。
 だが、ここで起たなければ、彼自身が破滅するのだった。起たないで破滅するか、それとも起って蛮族として生きるか。(P217)


 スティリコは結果としては前者の道を選びました。
 それまでの生き方を継続する形で――。自らのスタイルを守って――。

 人間には、絶対に譲れない一線というものがある。それは各自各様なものであるために客観性はなく、ゆえに法律で律することもできなければ、宗教で教えることもできない。一人一人が自分にとって良しとする生き方であって、万人共通の真理を探究する哲学でもない。ラテン語ならば「スティルス」(stilus)だが、イタリア語の「スティーレ」であり、英語の「スタイル」である。他の人々から見れば重要ではなくても自分にとっては他の何ものよりも重要であるのは、それに手を染めようものなら自分ではなくなってしまうからであった。(P217-21)

 スティリコの死は、二年後「ローマ劫掠」につながりました。死んでいなければ、おそらく起こらなかったであろう「ローマ劫掠」・・とはいえ、生をまっとうしていたとしても、ローマ帝国の衰退を止めることは出来なかったのかもしれません。そのような時代ではなくなっていたので・・・。

 人材は、興隆期だけに現われるのではない。衰退期にも現われる。しかもその人材の質は、興隆期には優れ衰退期には劣るわけではないのだ。興隆期と衰退期の人材面での唯一のちがいは、興隆期には活用されたのに衰退期に入ると活用されない、ということだけである。
 ゆえに亡国の悲劇とは、活用されずに死ぬしかなかった多くの人材の悲劇、と言ってもよいと思う。


 冒頭の「カバーの金貨について」からの引用。
 今の日本はどうなのか? 今の○○○はどうなのか? などと考えさせられる一文です。

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