*** 夏日・・・? ***

 きょう夕方発表の東京の週間予報。注目されるのは、あさって25日の最高気温で、なんと27度!
 一時なのに、この時期の平年値・20度を大きく上回るとは、不思議な感じ。

 ●10月23日17時発表 東京地方の週間予報


 短期予報のあさっての予報文は、南の風 後 南西の風 やや強く くもり 一時 雨
 南よりの風が吹くので、気温が上がるということでしょうか。
 そのほか、熊谷が28度、前橋が27度、水戸・宇都宮・横浜・甲府が26度、銚子・長野が25度と、関東甲信地方の発表地点はすべて夏日の予想です。

 FSAS48を見ると、日本海には前線を伴った低気圧があり、東海上からの高気圧の張り出し方・等圧線の走向などから、関東地方はいかにも南西の風が卓越しそうな形。これなら雨は一時的で、晴れ間が出るかも・・・。気温がおかしくない気圧配置です。

 ●10月23日9時初期値・FSAS48 10月25日9時対象

 FSAS48のもととなる気象庁のGSMも、当然、低気圧の位置は日本海。
 この低気圧は、24日21時には朝鮮半島南部に予想されているもので、低気圧の進路にあたる朝鮮半島南部~日本海に降水の極大域が現れています。

 ●気象庁GSM 10月23日9時初期値
      左:36時間後予想図(10月24日21時)    右:48時間後予想図(10月25日9時)


 もちろん、モデルで強雨が計算されているエリアだけで強雨が起こるとは限りません。
 その点は気象庁も抜かりはなく、夕方発表の短期予報解説資料の「主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点」の項で、次のように触れています。

   FT24 までに黄海で前線(850hPa:15℃付近)が顕在化し、FT24 には低気圧も発生する。
   前線や低気圧の影響で、降水域が西日本に広がる。
   西日本の太平洋側では暖湿気が流入し、地形効果により降水が強まるおそれがある。


 さらに、「数値予報資料解釈上の留意点」では、次のように記しています。

   モデルほぼ安定しており、最新のGSM を基本。
   先島諸島周辺の降水はGSM の環境場と実況を比較し対応。
   その他の地域の降水に関しては、MSM も参考にする。


 何の問題もなさそうです。モデルも安定しているというのですから・・・。
 確かに、GSMはベース替わりが小さく、安定しています。
 ほかのモデルも、ベース替わりは小さく、比較的安定しているといえるでしょう。
 しかし・・・、「安定」の内容は違っていました。

 まずは、KMAのモデルを見てみると・・・。

 ●KMA 10月23日9時初期値
      左:36時間後予想図(10月24日21時)    右:48時間後予想図(10月25日9時)

画像

 一見して分かるように、低気圧とそれに伴う降水域の位置がずいぶん違います。
 低気圧は南岸沿いに東進していて、日本海を進む低気圧や降水の極大域は見られません。

 次にNCEPのGFS――。

 ●NECP-GFS 10月23日9時初期値
      左:36時間後予想図(10月24日21時)    右:48時間後予想図(10月25日9時)


 これも低気圧は南岸沿いを東進。強い降水域も南岸沿い。日本海にのびる形の強雨域はありません。

 最後にECMWF――。

 ●ECMWF 48時間後予想図
     左:10月22日21時初期値(10月24日21時)   右:10月23日9時初期値(10月25日9時)

画像

 この図で降水域は分かりませんが(黄色や黄緑で示されているのは強風のエリア)、低気圧は24日21時に四国沖、25日9時に関東の東と、NCEPやKMAと似た位置に予想されています。

 ECMWFの予想図は24時間ごとにしか閲覧できないので、12時間前の予想図と並べましたが、低気圧の位置は自然につながります・・・ということは、ベース替わりは小さいわけです。
 NCEPとKMAも南岸を低気圧が通過するストーリーは変わらず、ベース替わりは小さい・・・。
 上で書いた「安定」の内容は違っていましたは、こんな事情を示しています。

 仮に気象庁のGSMではなく、NCEP/ECMWF/KMAのストーリー通り、南岸を低気圧が進んだ場合、関東地方は南よりの風が入りづらく、気温は上がらないでしょう。さらに、雨の降り方もだいぶ違ってくるはずです。
 短期予報解説資料では西日本太平洋側しか触れていませんが、低気圧が南岸を通れば、進路に近い東日本太平洋側も強雨の可能性が出てきますし、低気圧そのものの雨であれば、地形効果がなくても、強雨の可能性が出てきます。はたして・・・。

 それにしても、前日、前々日になっても、これだけ大きなブレがあるのは珍しいです。
 答えはあさって・・・まで待たなくても、あすには出るでしょうか・・・?

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<25日追記>
 5時発表の気象庁の短期予報。
 東京地方は北の風 くもり 朝晩 雨で、東京の予想最高気温は21度!
 金曜日の予想より、6度も下がりました。
 そのほか、熊谷24度、横浜・千葉・水戸・宇都宮が23度、前橋が22度。
 金曜日にはすべて夏日の予想でしたが、1ヵ所もなくなりました。
 予報文に南よりの風が入っているのは、千葉県南部・神奈川県東部だけ。
   千葉県南部
     北西の風 後 南西の風 やや強く くもり 夜 雨
   神奈川県東部
     北の風 日中 北東の風 海上 では 南西の風 やや強く くもり 朝晩 雨
 今回は、海外系のモデルのほうが妥当だったようです。
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<28日追記>
 遅くなりましたが、結果を追記しておきます。

 まずは、24日21時と25日9時の実況天気図・・・。
 低気圧は南岸を進み、9時には三陸沖へ。正確には、この低気圧は21時の天気図で四国沖に解析されたものと別のようですが、いずれにしても、南岸沿いに前線が残りました。
 ・・・ということは、南風が入るわけがなく、気温が上がるわけもなく・・・。


 下は25日12時の気温と風の様子。
 南より(=南西)の風が入っていたのは、伊豆諸島まで。関東平野はほぼ全域が北よりの風です。
 当然、気温も上がらず、島嶼部をのぞくと、関東地方で25度を超えているのは鴨川のみ。
 1時間ごとの値しか見ていませんが、おそらく夏日になったのは鴨川だけだと思います。

画像

 週間予報で予想気温を発表している地点の最高気温は以下の通り。
 夏日の所は1ヵ所もなく、金曜日発表の週間予報を5~7度も下回りました。

       水戸 18.7 宇都宮19.9 前橋 22.3  熊谷 21.5
       銚子 20.1 東京 21.4 横浜 20.7

 金曜日の時点で、GSMは安定していましたが・・・結果的に一人負け。なかなか難しいものです。

 話は変わり・・・、きょうの関東地方はかなり寒い一日になっています。
 日中の気温は軒並み一桁。10月としては記録的な寒さです。
 これについてはまた別の記事で・・・。
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  ※ FSAS48・FXFE504(GSM36・48時間後予想図)は北海道放送のHP、
    KMA/NCEP-GFS/ECMWFの予想図はそれぞれKMA/NOAA/ECMWFのHP、
    気象庁の週間予報は気象庁HPから引用のうえ、加工しました。

この記事へのコメント

nabarea11
2010年10月24日 17:04
翻訳する必要はないようですが、台風13号崩れの湿潤域が前線に流れ混んでくる。そう言う意味ではないでしょうか。
安定はモデルが安定している。と言うことのようですが、どうもブレがひどいのは、南側の動き(鉛直断面)が安定しないからではないか?と思われますが、いかがでしょうか。
たかはし
2010年10月28日 18:16
コメントありがとうございます。
この擾乱もそうでしたが、
どうもGSMは北に進めすぎる癖があるような感じがします。
スケールは異なるものの、台風14号も
数日前のモデルでは日本海へ進めていました。
(おかげで、関東の850hPa気温は15度以上に・・・)
GSMだけでなく、ほかのモデルも含め、アンサンブル的に
利用しなければいけない、ということでしょうか。

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