『豊かな国の貧しい政治』 田勢康弘 (新潮文庫)

第1部 政治家の偏差値
 Ⅰ 糸を切られた操り人形(海部政権)
 Ⅱ 教養人首相の稚拙な手腕(宮沢政権)
 Ⅲ 「投げ出した」首相と「投げ出された」首相(細川、羽田政権)
 Ⅳ 「反小沢」政権の限界(村山政権)
第2部 豊かな「日本」と貧しい「日本人」
 Ⅰ 貧しい政治
 Ⅱ 貧しい日本人
第3部 二十一世紀前夜の世界から
 Ⅰ 世界との付き合い方
 Ⅱ 人々の横顔
                       (平成七年五月一日発行)

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 麻生首相の郵政民営化に関する発言も政治家としての資質を疑わせるに十分な、相当ひどいものでしたが、それがかすんでしまうくらいの異常な出来事です。国際舞台での失態が原因の辞任、予算審議中の財務相の辞任なんて聞いたことがありません。

 以下、産経新聞の記事より・・・。

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中川財務相の記者会見は「サケ・プロブレム」
2月17日20時46分配信 産経新聞

 中川昭一財務相の辞任や問題となったローマでの記者会見の模様を、米国や英国など世界各国のメディアは、早速伝えた。

 米国では、MSNBCテレビなどが16日、中川財務相が批判を浴びていることを「サケ・プロブレム(酒問題)」と伝え、ロイターやAPなどの通信社は17日、中川氏の辞意表明を「人望のない麻生太郎首相への新たな打撃」などと速報した。

 MSNBCはまた、記者会見の映像を流した後、女性キャスターが、「これが日本の財務相だ」と笑いながらちゃかしたうえで、「そんな国が、きょうクリントン国務長官が訪れている日本だ」とコメントした。

 17日付の英紙インディペンデント(電子版)は、中川財務相の記者会見を「1970年代以来最悪の危機に直面している世界第二の経済大国のかじを取る責任者が、酒酔い運転だろうか」と伝えた。英BBC放送は同日、東京株式式場の下落を伝える際に、記者会見の映像をだぶらせ、キャスター自身がろれつが回らないようなしぐさをした後、笑い転げた。

 KBSなど韓国の主要テレビ局も、記者会見の映像を流し、聯合ニュースは「酒に酔ったように記者らの質問に思い通りに答えられず、ちんぷんかんぷんな発言をする醜態をみせ、国際的な大恥をかいた」と指摘した。

 中国では17日付各紙が、「日本の財務相が『酔っぱらって』G7参加」と大きく報じた。また中国中央テレビは、16日夜のニュースから、中川財務相が記者会見でろれつが回らない状態だったことを詳報し、中川氏の釈明も紹介した。

 ウエブ上では、各国メディアや動画サイト、ユーチューブで記者会見の映像が掲載されている。

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 酒か薬か分かりませんが、あの状態で会見に臨むとは考えられません。いったいどういうつもりだったのでしょうか? 事務方など、周りの人はなぜ誰も止めなかったのでしょう?
 即辞任ものだと思うのですが、そうならないのがまた不思議なところ。以下、毎日新聞の記事より一部引用。

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中川財務相辞任:続投、一夜で一転 危機管理の甘さ露呈

 先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後の記者会見でろれつが回らないなどの醜態を演じた中川昭一財務・金融担当相が辞任したのは、世論の厳しい批判を受け、政権の致命傷になりかねないと麻生太郎首相が判断した結果だ。ただ、首相は当初続投を指示し、それが一夜にして辞任と対応が迷走したことで、政権の危機管理能力の欠如は覆いようもなかった。重要閣僚でかつ盟友の退場は、低支持率にあえぐ麻生内閣に極めて大きな打撃となった。
     (略)
 折しも、クリントン米国務長官の来日中に起きた辞任劇。首相官邸内からは「せっかく前に進もうという時に、そうさせないことばかり出てくる」(政府高官)とのぼやきも漏れた。【西田進一郎、坂口裕彦】

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 クリントン国務長官来日のニュースをすっかり飛ばしてしまいました。相当失礼な話です。
 中川氏は保守派を代表する政治家で、「愛国心」などの言葉を好んで使いそうですが、本人のこの行動がどれだけ国益を損ない、国の威信を傷つけたのか・・・。
 こういう人が大臣を務めていたのかと思うと、情けなくなります。そして、こういう人を切れない人が一国の宰相かと思うと・・・。いずれにしても、麻生内閣は身内からトドメを刺された形。政権を投げ出す日も近そうです。

 本書の解説には

 さて、本書であるが、第1部は、海部、宮沢、細川、羽田、村山の各政権のキャラクターとでもいうべきものを眺めることができる。
 わずか五年のあいだに、これだけ首相が代ったのもすごい話だが(以下略)


とありますが、小泉首相が2006年に退任してからはもっとすごい状況になっています。安倍首相・福田首相がそれぞれ1年ほどで辞任し、麻生首相が解散前に辞任するとなると、衆議院選挙を経ないで4人目の首相誕生・・・。これは明らかに異常事態です。
 平成の初めは「豊かな国の貧しい政治」と言えましたが、日本という国・日本人、ともに経済的に豊かとは言えなくなりました。そして、政治はあの頃よりさらにレベルが下がったような・・・。当時は当時で「レベルが低い」と思いましたが、さらにここまでひどくなるとは想像を超えています。
 ここ数年の状況を描くとするならば、田勢氏はいったいどんなタイトルをつけるのでしょうか。

 それにしても、16日の衆院財務金融委員会での

「(酒を)飲んだのを『ごっくん』ということであれば、ごっくんはしていません

の発言も意味不明。「(酒を)飲んだのを『ごっくん』ということであれば、飲んでいません」なら、まだ分かるのですが・・・。

 でも、意味不明な発言といえば、やはりこの人、竹下首相。本書には「いずれも日本語の歴史に残りそうな迷セリフ」として、証人喚問での以下の発言が載っています。

「記憶を呼び戻してもなかなか難しい」

「察知したということに尽きる」

「先生の勧告、要請はそれなりのお考えとして受け止める」

「『万死に値する』と申し上げるのが私の答えの道だろう」

「それ以上のお答えはちょっと工夫してみないといま、とっさには出てこない」

 検証してみると竹下答弁の巧みさがよくわかる。すべてを完全に否定してしまえば、いかにもウソで固めたという印象になる。竹下氏はそんな愚かなことはしない。一部事実を認めることで答弁に信憑性を持たせ、ぎりぎりのところで自分は知らなかったと述べている。
 この天才的な答弁術の前には野党の質問者などは赤子同然である。


 皮肉交じりに描かれていますが、これに比べると中川氏は(・・・少なくともシラフでは・・・)まだまだ(!?)ですね。

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