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zoom RSS 『親指のうずき』 アガサ・クリスティー 深町真理子 訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

<<   作成日時 : 2018/04/27 23:59   >>

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 日〜火の帰省で、トミーとタペンスのシリーズを2冊持ち帰りました。
 まずは『親指のうずき』から――。

トミーとタペンスは冒険心旺盛な初老の夫婦。今は亡きエイダ叔母のいた養老院を訪れた時、タペンスは叔母の部屋に掛かっていた一枚の風景画に胸騒ぎを覚えた。絵の中の運河のそばの寂しい人家に見覚えがあったのだ。そして今、絵の所有者ランカスター夫人が失踪した! タペンスは、変に親指がずきずきして何か悪いことが起こりそうな予感に襲われる……おしどり探偵トミーとタペンスが縦横無尽に活躍する女史後期の佳作

 ――ということで、タイトルはマクベスの一節が由来。75ページのタペンスのセリフに登場します。

   なんだか親指がずきずきするよ、よくないことが起こるんだ。

 胸騒ぎのもとになった一枚の風景画はこんな絵です。

 小型の油絵で、運河斧ほとりに建った淡いピンク色の家と、運河にかかった小さな太鼓橋が描かれている。橋の下には一艘の小舟がつながれ、遠景には二本のポプラの木が見える。(P50)

 ほかの箇所にも「ピンク色の家」と出てきますが・・・。

 そしてその向うに運河があり、運河の向うにまさしくタペンスの見覚えのある家があって、その手前に、ピンクの煉瓦でできた小さな橋がかかっていた。(P96)

 ピンクが修飾しているのは家ではなく、橋。
 「ピンク色の橋」の表現は(おそらく)この1ヵ所だけ。
 これは誤訳で、ピンクなのは家だけなのか? 家も橋もピンクなのか? はちょっと謎です。。

 もう一つの謎は、トミーとマレイ博士との会話。

「わざわざ遠くまでご足労願って恐縮です」トミーは言った。「そうと知ってたら、もっと便利なところでお会いしてもよかったんですが」
「するといまのところはお手すきですな?」
「まあさしあたってはね。先週はちょっと出かけていましたが」
「らしいですな。先日お電話したときそううかがいました」 (P195)


 この少し前の電話でのトミーの言葉――。

「なるほど。じつはわたし、ここ四、五日留守にしておりましてね。さきほど帰ったばかりなんです(以下略)」(P185)


 トミーが出かけたのは月曜日〜木曜日。
 ・・・ということは、マレイ博士と会ったのは翌週の日曜日以降になりますが・・・。

 マレイ博士に会う前、トミーがアルバートのかけた言葉――。

「なにはともあれ、ゆうべ電話してきたマレイ博士と、クラブで昼飯を食わなきゃならん。(以下略)」(P188)

 マレイ博士と会った後、同じ日のトミーとデボラとの会話では――。

「おかあさま、なにをしてたの? たしかおとうさまは、ここ四、五日ロンドンへ行って、ばかばかしい過去の遺物のOBたちと、国家の機密とやらをうんぬんしてたんだったわね?」
「そのとおりだ」トミーは言った。「じつはゆうべ帰ってきたばかりだよ」(P248)


 これらが正しいとすれば、トミーとマレイ博士があったのは、トミーがロンドンから帰ってきた翌日のこと。
 ・・・とすると、「ちょっと出かけていた」のは「先週」ではなく、「今週」のはず・・・。
 「電話で話をした」のは「先日」よりも「きのう」のほうが適当なはず・・・。
 ちょっと謎です。。

 そんな謎はありつつも、細かな伏線はさすがとしか言いようがありません。
 <運河の家>でのペリー氏とタペンスの会話――。

「ほら、きれいな花だ、ねえ? ここいむかしはやったばらの花もある――これをごらん、この赤と白の縞のやつを」
「<コマンダン・ボールペール>ですわね」タペンスは言った。
「わしらあ<ヨーク・アンド・ランカスター>って呼んどる。ばら戦争のね。いい匂いだろう、ねえ?」(P107)


 そして、タペンスが目にとめた一通の手紙の宛名――。

 それは婦人専門の養老院、ローズトレリス・コートにいるヨーク夫人とやらに宛てられたもので、住所はカンバーランドになっていた。(P166)

 ランカスター夫人にヨーク夫人とは・・・。



 画像はバラの美術館「ロージアム」からの引用――。
 『英仏百年戦争』を読んだのは、ブログを始めた12年前。
 当時書いた記事を読み返しても、まるで思い出せません。。
 薔薇戦争について、まずはWikipediaを見てみますか・・・。

 話が完全に逸れましたが、トミーとタペンスのシリーズは4冊再読完了し、残るは『運命の裏木戸』。
 最後の30ページほどの急展開についていけなかった『親指のうずき』を整理してから、とりかかります。

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第一部 サニー・リッジ
 1 エイダ叔母さん  2 あなたのお子さん?  3 葬儀
 4 一枚の絵  5 老婦人の失踪  6 タペンス捜索にのりだす
第二部 運河の家
 7 善意の魔女  8 サットン・チャンセラー  9 マーケット・ベイジングの朝
第三部 失踪――主婦
 10 会議――そしてその夜  11 ボンド街とマレイ博士
 12 トミー旧友に会う  13 アルバート手がかりを追う
第四部 教会があって塔がある 扉をあければ人がいる
 14 思考演習  15 牧師館の一夜  16 一夜明けて  17 ランカスター夫人
     ストーリー・テラーとしてのクリスティー <小林信彦>
        (1976年8月31日発行 1991年4月30日21刷)

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『革命』 黒木渚
 (おそらく)12年ぶりに読んだ『英仏百年戦争』。  再読完了を記念して(?)、黒木渚の革命を――。  YouTubeの動画をひたすら貼っておきます。。 ...続きを見る
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