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zoom RSS *** 胆振地方の記録的大雨(2006/5/28) 〜10年前の天気図より〜 ***

<<   作成日時 : 2016/05/28 21:05   >>

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 〜10年前の天気図より〜 の第4弾――。
 ちょうど10年前にあった、胆振地方の記録的大雨です。

 5月28日から29日にかけて、北海道は発達した低気圧の接近により、太平洋側を中心に風雨が強まった。
 特に胆振地方周辺では記録的な大雨となり、28日の日降水量は登別市カルルスで観測史上最多の276ミリを記録したほか、白老町森野で215ミリ、千歳市支笏湖畔で162ミリと5月としての記録を更新した。

  ・28日の雨の記録  ・28日の風の記録  (気象庁HPより引用)

詳細

カルルスなど6地点の降水の経過

 カルルス・森野・支笏湖畔の降水量は登別・白老・苫小牧のそれぞれ約3倍。雨雲の発達に地形上昇の効果が大きく影響したものと考えられる。
 
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地上気圧配置と500hPa天気図

 500hPa天気図。日本海には寒冷渦。一方、東海上には強いリッジ。日本列島の上空では風の流れが大きく蛇行していて、いかにも普通じゃない感じ。
 地上天気図。日本海には寒冷渦に対応した低気圧。動きが遅く、12時間たってもほとんど同じ位置。東海上の高気圧も動きが遅い。動きがあるのは9時に関東南部にあった低気圧だが、進行方向が普通じゃない。高気圧にブロックされているため、三陸沖を北上するしかない。このため、北海道では気圧傾度の大きな状態が長く続くことになる。

   5月28日9時・500hPa天気図       5月28日9時・地上天気図    5月28日21時・地上天気図    
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850hPa予想天気図

 低気圧前面の大きな気圧傾度は湿った風が強く流れ込みやすいことを意味し、850hPa相当温位の予想図にもはっきりと表れている。28日9時の図を見ると、日本海東部〜東北地方〜北海道南西部では等相当温位線が北へ盛り上がり、広範囲で40〜50ノットの南よりの風が予想されている。この部分は21時の図でも北海道西部太平洋側にかかっている。実況の強いエコーの動きとの対応もよく、湿った南東風が長時間、強く入り続けたことが大雨の要因と推定される。

  850hPa予想天気図(5月27日21時・初期値)
   FT=12(5月28日9時対象)     FT=24(5月28日21時対象)     FT=36(5月29日9時対象)
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室蘭のウィンドプロファイラー(気象庁HPより引用)

 28日6時頃から下層(高度2km以下)で南東風が強まっている。2km付近の南東風は20時頃に再び強まるタイミングはあったものの、14時頃以降は全般に弱まった。これに対し1km付近の南東風は22時頃にかけて20〜30m/s前後と強い状態が継続した。風は日付が変わってからは弱まり、対応してエコーも消散した。

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レーダーエコー図

 雨雲は日本海の渦を中心として反時計回りに動き、胆振地方には東北地方から北上するエコーが次々とかかった。強いエコーがかかっていたのは南東風が強かった時間に対応している。南東からの暖湿流が弱まった28日夜遅く以降、まとまったエコーがかかることはなくなり、29日昼前にはエコーの空白域となった。


 10年前のは以上で終わりですが・・・類似例をあげていました――。

類似例(1) ・・・2001/10/11

カルルスなど6地点の降水の経過 

画像

地上気圧配置と500hPa天気図
 
 500hPa天気図。日本海には寒冷渦。一方、東海上には強いリッジ。日本列島の上空では風の流れが大きく蛇行していて、いかにも普通じゃない感じ(文章が同じなのは気圧配置のせい。決して手抜きではない)。
 地上天気図。日本海西部には寒冷渦に対応した低気圧。動きが遅く、12時間たってもほとんど同じ位置。東海上の高気圧も動きが遅い。秋田沖にあった低気圧が消滅したほか、動きがあるのは9時に茨城県沖にあった低気圧だが、進行方向が普通じゃない。高気圧にブロックされているため、三陸沖を北上するしかない。このため、北海道では気圧傾度の大きな状態が長く続くことになる(念のため。誓って手抜きではない)。

   10月11日9時・500hPa天気図       10月11日9時・地上天気図    10月11日21時・地上天気図 
画像画像画像


850hPa予想天気図

 低気圧前面の大きな気圧傾度は湿った風が強く流れ込みやすいことを意味し、850hPa相当温位の予想図にもはっきりと表れている。11日9時の図を見ると、日本海東部〜東北地方〜北海道南西部では等相当温位線が北へ盛り上がり、広範囲で40〜50ノットの南よりの風が予想されている。この部分は21時になると北海道東部太平洋側に移り、胆振地方で夜遅くに雨が弱まったことを説明できる。大雨の要因は湿った南東風が長時間、強く入り続けたことと推定される。

  850hPa予想天気図(10月10日21時・初期値)
          FT=12(10月11日9時対象)         FT=24(10月11日21時対象)
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 さらにもう一つ、類似例をあげていました――。

類似例(2) ・・・1994/5/27

 ついでにもう一例。28日の日降水量が5月としての記録を更新したのはカルルス・森野・支笏湖畔のほか黒松内(後志)・祭畤(岩手)・駒ノ湯(宮城)の計6箇所。このうち黒松内をのぞき、これまでの記録はいずれも1994年5月27日のもの(28日の雨の記録・参照)。
 この日の天気図はというと、寒気トラフに対応する低気圧が日本海ではなく沿海州という違いはあるが、東海上の高気圧との間で気圧傾度が大きいこと、(この図では分かりづらいが)本州南岸から三陸沖を擾乱が進んでいることが、今回と2001年10月1日の事例に似ている。500hPa天気図では東海上が強いリッジ、日本海が深いトラフとなっていて、日本付近では等高度線が南西から北東に走っていることが共通点である(天気図はNCEP/NCAR再解析データから作成)。

        1994/05/27 09時 500hPa       1994/05/27 09時 地上
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        1994/05/27 21時 500hPa       1994/05/27 21時 地上
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 〜10年前の天気図より〜 ――。
 このシリーズ(?)、次は来月18日、最終回です。。

 ・・・が、その前に――。

 北海道には来月2日以降、この時期としては強い寒気が入る予想。
 昨夜21時初期値のGSMは、3日に850hPa/-3℃ラインが道央まで南下していました。
 さすがにこれは強すぎるにしても、道北の850hPa気温は0℃以下まで下がる見込み。
 北からの寒気移流が強く、道北やオホーツク海側は冷たい雨で、峠は雪になるかもしれません。
 GSMのようになった場合は平野部でも・・・。

 いちおう、網走と根室の終雪の記録が6月8日(1941年)というのは調べました。
 仮に北見などで降った場合、真夏日を記録した後に雪――ということになりますが・・・。
 どうなるか、注目です。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
1994年5月27日の実況を送信しておきました。NCEPの再解析と異なる部分があるかと思います。当時日本海北部に進んでいた低気圧について、沿海州に進んできた時点から海上暴風警報が出ていましたから、悪天の程度を相応に評価していたと思われます。
高層実況でも、北海道の高層観測などから観て、先行していた前線付近では南風が激しかったことが判ります。
navarea11
2016/06/04 09:56
navarea11さん、メールありがとうございました。
電文に記されている低気圧の位置は、
1994年5月27日9時が41N/137E、15時は43N/138Eなので、
NCEP再解析の低気圧よりは少し東。
閉塞点で新たに発生した低気圧のように見えますね。
フレの電文が当時あったか分かりませんが、あったとすれば、
複数地点で発表されたのではないかと推測しました。
たかはし
2016/06/06 23:40

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