Untidy Bookshelves

アクセスカウンタ

zoom RSS 『「欲望」と資本主義 終わりなき拡張の論理』 佐伯啓思 (講談社現代新書)

<<   作成日時 : 2015/12/29 23:59   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 再読のきっかけは、『市場システムを超えて 現代 日本人のための「世直し原論」』。
 ずっと本棚にはありましたが、ページを開いたのはいつ以来か分かりません。
 
 『市場システムを超えて 現代 日本人のための「世直し原論」』の欲望に関する議論に違和感があったのは、10分ほど前にエントリーした記事の通り。
 本書ではどのようにとらえられているかというと――。

 欲望とは、つねにフロンティアを拡張しようという動きをもっている。それは知的好奇心においてもそうだし、自然を支配したいという欲望においてもそうだし、宗教的情熱においてもそうだ。だからそれらは、すべてある意味で「欲望」だといってもよい。人はいずれ、こうした欲望から逃れることはできない。「資本主義」はこうした「欲望」と連動し、共鳴する。それは、こうした「欲望」にかたちをあたえ、そのフロンティアの拡張を方向づけ、その流れを整序するひとつの装置なのである。(P96)

 程度は別にしても――。
 「人はいずれ、こうした欲望から逃れることはできない」のほうが、人間の本性にあっている感じがします。
 「資本主義」が「欲望のフロンティアの拡大運動」という点も、わりとしっくりきます。
 
 欲望が向かう対象は、時代とともに「外」→「内」→「自分自身」へと変化してきました。
 結果として起こったことは――。

 要するに技術のフロンティアと欲望のフロンティアが乖離しはじめたといってよい。技術のフロンティアの開拓が、そのまま多くの人々の欲望のフロンティアの開拓にはならない。現代のようなきわめて高度化したテクノロジーを、われわれの「普通の」日常生活の中に回収することができない。それは人々の欲望の次元ではコントロール不能になっているのである。「新しいもの」ということが、無条件でこの技術のフロンティアと欲望のフロンティアを結合することはできなくなったのである。(P218)

 この点は現状も、本書が書かれた20数年前とあまり変わっていないのでは・・・。
 ただ、筆者はこの状況を決して悲観的に見ているわけではありません。

 だからこれは、一面では、人間の未知なるものに対する想像力の危機だともいえる。人間は「新しいもの」を手元にたぐりよせる強力なメカニズムを失いつつあるからだ。だが、逆にいえば、その想像力を産業技術が独占していた「近代」を脱して、それをもう一度、文化や知識の領域に取り戻す可能性も開かれてきたのである。欲望が常に技術、とりわけ産業技術によって開拓され、「新しいもの」が産業技術によって提供されてきた、「産業資本」と訣別することができるのである。(P218)

 具体的にどのような方策が有効なのかは分かりませんが・・・。
 いずれにしても、個人的な話として、想像力が欠如しているのは確か。。
 さて、何から始めましょうか・・・。

-------------------------------------------------------------------
 はじめに
第1章 社会主義はなぜ崩壊したのか
  1 「経済」についての議論  2 社会主義に欠けていたもの
第2章 八〇年代と日本の成功
  1 八〇年代の「消費社会」  2 日本の「産業主義」
第3章 資本主義という拡張運動
  1 拡張する欲望フロンティア  2 過剰の処理としての資本主義  3 「欲望」についての考察
第4章 「外」へ向かう資本主義
  1 「資本主義」はどのようにして発生したか  2 産業革命とは何だったのか
第5章 「内」へ向かう資本主義
  1 二〇世紀アメリカが生みだした資本主義  2 アメリカ資本主義の象徴するもの
第6章 ナルシシズムの資本主義
  1 モノの意味の内容  2 欲望のフロンティアのゆきづまり
第7章 消費資本主義の病理
  1 資本主義とモラル  2 バブルと資本主義  3 ゆたかさの果てに
 参考文献
                             (1993年6月20日第1刷発行)

-------------------------------------------------------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『「欲望」と資本主義 終わりなき拡張の論理』 佐伯啓思 (講談社現代新書) Untidy Bookshelves/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる