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zoom RSS 『プワゾンの匂う女』 小池真理子 (徳間文庫)

<<   作成日時 : 2014/01/11 01:29   >>

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 処分する前にもう一度――ということで、久しぶりに小池真理子を読んでみました。
 
  ※ 最後のほうで、しれっとネタばれしてますので、ご注意ください。

グレは銀座のクラブ“アビシニアン”の新人ホステス。フランス製の香水プワゾンを愛用していること以外、素性はわからない。食品会社に勤務する小泉哲夫は、社用で店に通ううち、グレに魅かれていった。ある夜、グレと小泉は山中湖にドライブに出かけるが、翌朝、小泉の溺死体が発見され、遺体からは多量の睡眠薬が発見されたのだ!? グレの行方は?
 戦慄の長篇サスペンス。


 カバーにあるあらすじを読んでみても、どんな話か思い出せませんでしたが・・・。
 空港のカウンターの場面で分かりました。そういえば・・・。
 巻末の[参考資料]はそういう意味でしたね。。

 そんなわけで、犯人探しは終了。
 あとは「どうやって命を救うか」に焦点が絞られ、細かいところが気になりだしました。

 一九七四年春の出来事が、一九八六〜一九八七年の事件の複線になるという設定。
 一九八七年のこととして、こんなことが書いてあると、つい裏をとりたくなります。。

 その年の夏は梅雨明けが遅く、七月の末になってもまだ、じめじめと雨が降り続いていた。
   (中略)
 八月になり、梅雨が完璧に明けた。  (P182)


 気象庁のHPで調べてしまいました。
 1987年の関東甲信の梅雨明けは、7月23日頃。
 発表日が見直されたのかも・・・と思いましたが、日別の実況を見ても、そんな感じはしません。

       ・東京・1987年7月(気象庁HP)     ・横浜1987年7月(気象庁HP)

 まあ、フィクションなので・・・。
 でも、この天候に関する部分、本筋には影響しないので、こんな設定にする必然性はありません。
 それなのに、なぜあえて現実と異なるようにしたのか?
 まあ、フィクションなので・・・。
画像
 右は巻末に載っていた、[参考資料]
 あげられている7冊のうち、1冊だけ持っていました。
 ただ、ページをめくってみても、考えていたような記述は見つからず。
 ということは、二重人格以外の部分で、参考にしたのでしょう。

 加えて、考えてみると、完全に同一の本を持っていませんでした。
 どういうことかというと・・・。

 私が持っている『犯罪心理学入門』は中公新書のもの。
 [参考資料]に載っている『犯罪心理学入門』は岩波新書のもの。
 ありがちなタイトルでも、同一著者が複数出すのは考えにくいです。

 福島章・犯罪心理学で検索すると・・・。
 引っかかるのは中公新書だけで、岩波新書はかすりもしません。
 おそらく、[参考資料]が誤りなのでしょう。

 単行本で誤ったとしても、文庫本はそれを修正する機会でもあります。
 それを逃して・・・というか、単行本の時に指摘がなかったのでしょうか?
 これもなかなかのミステリーなのでは・・・と勝手に思っています。

           (1990年8月15日初刷 1992年6月25日2刷)


<1月16日追記>
 navarea11さんから指摘があった1987年7月25日と31日の天気図を描いてみました。
 利用したのは、NCEPの再解析データです。
 まずは、7月25日15時――。

 ●1987年7月25日15時・解析天気図   左:地上気圧  右:500hPaジオポテンシャル高度
画像

 500hPaはサブハイの圏内のようですが、地上では東海上から低圧部がのびています。
 北海道の東にも高気圧セルがあるので、サブハイとの間で前線帯が形成されていたのでしょう。
 確かにこれはゲリラっぽくなりそうです。
 それにしても・・・、南海上が不穏ですね。。

 続いて、7月31日15時――。

 ●1987年7月31日15時・解析天気図   左:地上気圧  右:500hPaジオポテンシャル高度
画像

 日本海と関東南東海上にそれぞれ低気圧があり、しっかりトラフに対応しています。
 確かにこれはゲリラっぽくなりそうです。
 南海上は不穏でなくなりました――――が、ひょっとして・・・。

 そんなわけで、ちょうど中間の7月28日15時の天気図を描いてみました。

 ●1987年7月28日15時・解析天気図   左:地上気圧  右:500hPaジオポテンシャル高度
画像

 大陸東岸と沖縄南東海上にそれぞれ渦巻きが・・・。
 内挿すると、ちょうどよいですね――――ということは・・・。

 デジタル台風で調べたところ、やはり――――でした。
 左が台風8号、右が台風7号の進路です。

画像

 31日に関東南東海上にある低気圧は、実は台風7号。
 日本海の低気圧は台風8号から変わった温帯低気圧。
 「単なる低気圧2つ」の天気図ではありませんでした。
 熱帯起源の水蒸気が流れ込んでいたでしょうから、ゲリラっぽくなったのも分かるような気がします。

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コメント(4件)

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その年の夏は梅雨明けが遅く、七月の末になってもまだ、じめじめと雨が降り続いていた。

1987年の梅雨は、当時の速報ベースでは7月31日だったかと。
何で遅かったのかですが、7月の上旬から前線が張り付いたものの、今で言うゲリラ雷雨のような降り方が顕著で、晴れと雨のメリハリがありすぎた。というところ。首都圏では大規模停電が発生した年でもあります。月末に近づいた頃から活動が激しくなった。そんな年です。
長々と梅雨が続いたと言われたのは、その翌年の1988年。この年に台風の国内向け勢力階級の基準が変わった年でもあります。非常に短命な台風が8月に出たこともありました。発表年がいつかは判りませんが、多分に何かあると思います。
navarea11
2014/01/11 08:22
情報ありがとうございます。
指摘通り、1988年は梅雨明けが遅れ、7月31日でしたが、
この単行本が出たのは1988年7月なので、関係なさそうです。

また、1987年7月31日は東京で時間33ミリの激しい雨を観測。
確かにゲリラ雷雨のような降り方だったのかもしれません。
ただ、この日は気圧が1000hPaを切っていて、
太平洋高気圧に覆われている場とは言い難いです。
梅雨明けが発表されるにしては、不自然な場に感じます。
たかはし
2014/01/12 09:12
1987年は東京で.大規模な雷雨になりました。7月25日と7月31日です。
東京の観測記録によれば、気圧は、20分たらずで5hPaの気圧上昇を観測しています。
一つは前線近傍で、熱的低気圧が形成されたことと、500hPaに-3度の冷気帯があったことも誘発要因だったかも知れません。どちらも気圧配置が非常によく似ていました。7月31日は本当に都心で集中的に降った。が現れたわけですが、発生範囲から行くとどちらも同規模だったと。
1987年8月は、その後に台風が接近しています。
navarea11
2014/01/12 12:14
指摘があった1987年7月25日と31日の天気図を
NCEP再解析データを利用して描いてみました。
31日の日本付近の擾乱はそれぞれ台風7号と
台風8号から変わった低気圧のようです。
トラフもしっかりしていますし、確かに危ない天気図ですね。
たかはし
2014/01/17 00:16

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