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先週土曜日・9日は本州南岸を低気圧が東進し、西日本〜東日本〜東北南部の広い範囲で雪が降りました。 この南岸低気圧、週間予報の段階から予想されていて、4日の時点で9日9時の位置を関東の南と考えていました。実際はこれより半日遅れましたが、5日前としてはまあまあでしょう。低気圧が発達しながら東へ進み、下層の気温場が上がるため、関東でまとまった雪になるのは西部限定で、都心周辺ではほぼ積雪なし、千葉県と茨城県は雨で経過、という前日の見解もまあまあでしたが、東海地方は平野部でも10cm前後の積雪を記録し、大幅な見逃しとなってしまいました。 (アメダス積雪深の最大値 名古屋:13cm(16時) 岐阜:7cm(14・15時) 彦根:6cm(18〜21時) 米原:7cm(19〜21時) 関ケ原:5cm など) 以下はハインドキャストというか、今後のための備忘録です。
●850hPa天気図・9日9時 ![]() 【8日夕方発表の予測の根拠】 8日00zGSMの850hPa予想気温は−3〜−4度で、南岸低気圧による降水としては雪になるには十分な気温だったが、降水開始が予想されていた12時頃の地上気温は5度前後。このため、みぞれで降り始め、降水とともに気温が下がり、雪に変わると考えた。午後の気温はかなり下方修正し、夕方は1度くらいと予想。(ガイダンスの気温は未確認だが、名古屋の12時・15時・18時はいずれも雨の予想だった) 総降水量はある程度見込まれるが、地上気温が高めなので、降雪量はまとまらず、総降雪量は名古屋市周辺で1cm、岐阜(美濃地方)・三重県内 3−5cmくらいと考えた。 【実況の経過】 南岸低気圧にともなうエコーは9時頃から東海地方に広がり、降水が始まった。この時の気温は1〜2度の所が多く、相対湿度が低かったため、降水開始ともに0度前後に下がった(10時から11時の気温変化:岐阜1.5→−0.5、名古屋2.4→0.2、四日市1.1→0.2)。 このため、降水相は雪で経過し、低気圧が東海沖を通過した昼過ぎから夕方をピークに強まった。雪は低気圧が関東の南に進んだ夜のはじめ頃まで続いた(最後の最後でみぞれや雨に変わった所もあるようですが・・・)。 【予想を大幅に上回る降雪量となった要因】 各モデルとも(ピーク時はやや過少とはいえ)降水量の予想はほぼ妥当であり、降雪量のずれは気温のずれによるものであった。気温ずれの要因としてはおもに以下が挙げられる。 1)(名古屋周辺では)降水開始が予想よりも2時間ほど早かった。 このため、最高気温は予想ほど上がらなかった。 2)東海地方は前日から高気圧圏内で、9日明け方にかけては概ね晴れていた。 名古屋で−0.6度の最低気温を記録するなど、放射冷却のために 各地で氷点下の冷え込みとなり、岐阜県〜長野県にはメソ高気圧が形成されていた。 3)2)に関連し、東海地方の下層は比較乾いていて、 降水開始直前の相対湿度は50%前後だった(岐阜・名古屋の地上気象観測より)。 このため、降水開始により地上気温が急速に低下した。 1)により最高気温は予想よりも3度低く、さらに3)による気温低下幅も予想より大きかったため、昼過ぎから夕方にかけての気温は結果的に予測を3〜5度も下回る結果となった。 仮に地上気温が0度前後で経過すると予想できていれば、降水量はある程度予想されていたので、名古屋周辺でも5cmレベルの降雪を示唆できていたかもしれない。 また、GSMは850hPaの気温はほぼ予想通りだったが、それより下層の気温が高すぎた可能性がある。一方、MSMは最下層の気温がGSMより低く、安定層が形成されていて、0度以上の層がほとんどなかった。これに対し、GSMは下層の気温減率が大きく、0度以上の層がMSMに比べて厚くなっている。仮にMSMのガイダンスがあれば、雨ではなく、みぞれや雪と計算されていたと思われる。 【今後の予測のために】 今回の南岸低気圧は低気圧の位置、降水量の表現は概ね妥当であったが、地上気温を高めに見積もったたため、降雪量を見逃す結果となった。今後は以下の点を考慮に入れ、予測を組み立てることとする。 1)降水開始の早まる可能性 南岸低気圧に伴う降水はモデルの計算より早まることがしばしばある。 予想降水量が0.1ミリ程度の微量の場合、 降水量が予想されていなくても850〜700hPaが湿っている場合などは 降水が開始している可能性を考慮する。 2)降水開始で気温が急低下する可能性 降水開始前の総観場から、露点差が大きい場かどうかの見極め。 3)最下層で安定層が形成される可能性 今回の事例ではGSMの925〜950hPaレベルの気温が高すぎた可能性がある。 新GSMの下層気温は通常は低めバイアスがあると言われているが、 南岸低気圧に限ると925〜950hPaは逆に高めバイアスがあるかもしれないので、 南岸低気圧時の新GSMの気温特性について調査する必要あり。 最下層の高めバイアスが小さいMSMを併用することで、安定層の形成を適切に見積もり、 必要に応じて天気テロップの修正(雨・みぞれ⇒雪)の検討 東海〜近畿で大雪となり、関東ではそれほど降らない・・・、こんな分布もあるんですね。このような分布はまったくイメージしていませんでした。でも、例外が皆無だったら面白くも何ともないわけで・・・。このような例外的な現象を的確に予測できれば、価値が高いでしょうね。 ●2月9日・名古屋の実況(気象庁HP) http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_s1.php?prec_no=51&prec_ch=%88%A4%92m%8C%A7&block_no=47636&block_ch=%96%BC%8C%C3%89%AE&year=2008&month=02&day=9&view=p1 ●2/9 南岸低気圧による大雪のまとめ(名古屋お天気センターHP) http://ngy.sakura.ne.jp/kisyo/data/200802/080209.html ●気象災害特性 大雪(名古屋地方気象台HP) http://www.tokyo-jma.go.jp/home/nagoya/hp/bousai/saigai/ooyuki.html ●気象災害の記録 平成13年1月20日 南岸低気圧による大雪(名古屋地方気象台HP) http://www.tokyo-jma.go.jp/home/nagoya/hp/bousai/saigai/h1301.html |
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興味深く記事拝見しました。 |
星の金貨 2008/02/21 18:31 |
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